午後の時間帯、私はほぼ毎日、モスバーガーで紅茶を飲みながら、新聞や本を読んで過ごしている。
毎日、モスにいると、私と同じように、毎日、モスに来ている人がわかるようになる。
その中に、眼鏡をかけたおじいちゃんがいて、おじいちゃんは毎日、iPadを使って囲碁をやっている。
今日、そのおじいちゃんが、私に向かって微笑みながら「こんにちは」と声をかけてくれた。
なんだか、すごく嬉しくなって、心があたたかくなった。
この５カ月間、おじいちゃんとは毎日、顔を合わせていたのに、一度も挨拶したことがなかった。
ここが飲み屋さんなら、私は平気で隣の人に話しかけるのに、モスバーガーでは、あまりそういうことをしてはいけないと、どこかで思っていたようだ。
私のその窮屈な思い込みを、今日、おじいちゃんは、たった一言の言葉で外してくれた。
「こんにちは」
みんなが心待ちしているのは、この一言なのかもしれない。
矢沢大輔
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