うちの近所に、この1年の間に2軒の飲食店ができた。
一軒は、日本酒を楽しめる和食の店。もう一軒は、ワインを楽しめるグリル料理の店。
どちらも夜だけの営業で開店したのだが、グリルの店は夜だけの営業では席が埋まらず、そのうち土日のランチ営業を始めた。
お客さんが入らないのだから、当然、従業員の数を増やすわけにもいかず、従業員は深夜まで働き、土日は朝から深夜まで働くことになった。
そして、とうとう今年から、土日だけのランチ営業でも採算が合わず、平日のランチ営業も行うようになった。
従業員の顔を見ていると、日に日に疲れが増し、やる気を失いかけているのが伝わってくる。
何よりまずいのは、この店がオープンキッチンの店であること。
お客さんが入らなければ、従業員は仕事をできない。
動けなければ、店の活気が出ない。
そして、就労時間ばかり伸びて従業員は疲れきり、雰囲気の悪さがお客さんにモロに伝わってしまう。
これがオープンキッチンが裏目にでた場合の怖さだ。
一方、和食の店は、オープンして1年になるが、今も夜だけの営業で、毎晩、満席になっている。
いつ店に入っても、お店の人とお客さんとの和やかな会話が繰り広げられている。
そして、この店で飲んでいると、時々、お客さんが入らないグリル店の評判が話題になる。
あの店はうまいけど…。
この…の部分に、グリルの店には二度といかないと決めた、お客さんそれぞれの感想が述べられ、この話をグリル店の人が聞いたら、あっという間に繁盛するのになと思ってしまう。
お客さんがこない店は、お客さんを集めにいってしまう。
お客さんがこない原因を突き止めようともせず、同じことを続けて、お客さんを増やそうする。
でも、結果は明らかで、お客さんが来ない状態が夜だけでなく昼にも拡大させるだけ。
うちの料理はうまい。
そう思い込んでいる料理人がいる店ほど、この落とし穴に陥りやすい。
料理がうまいなんて、飲食店であれば、当たり前のこと。
お客さんがどういう店にお金を落としたがっているのか?
それがわからなければ、どんなに料理人の腕が良くても、飲食店は繁盛しない。
一言でいうなら、使い勝手の悪い店は味が良くても流行らない。
和食の店を経営する夫婦は、それをよく心得ている。
矢沢大輔
追伸
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追伸2
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