→統合失調症障害者の家族として(1)
→統合失調症障害者の家族として(2)
※最初におことわり
・医療に関わる内容を含みますが、専門家によるものではなく素人が書いた記事です。
・薬物に関する記述は、科学的検証に基づかない私見を含みます。
・作者の一方的な意見ですので、この記事を治療や研究の参考にはしないでください。
・治療や処方に関することは、必ず医師や薬剤師の指示に従って下さい。
・偏見や差別的表現を含みますが、当事者家族の立場から敢えて書いています。
・残酷な表現を含みますので、苦手な方は落ち込んでいる方や読まないで下さい。
前回記事では統合失調症障害を、家族という私自身の視点から述べました。あまり自分自身を擁護することなく、なるべく淡々と本音で書いたつもりです。もちろん、それを残酷と受け取める方は少なくないと思います。家族としてあるまじき姿勢と非難されるかもしれません。
この病は残酷です。母親を自らの手で牢獄に閉じ込めてしまうものです。できることならば記憶から消し去ってしまいたいです。でも現実です。そして今もまさに、日本のどこかで同じ悲劇が繰り返されています。
さて今回は、実際にどのような治療が行われているのか、統合失調症の当事者が直面している現場を書きたいと思います。ただし、この現実はさらに残酷な悲劇かも知れません。
【一般的な治療方法】
統合失調症で欠かせないのが、向精神薬による投薬治療です。現在最も主流の方法で、これが無くては治療はほぼ不可能と言って良いです。母はそれすら拒否してしまったので、思うような治療はできませんでしたが、治療方法としては一番効果的です。
ただし、全ての薬は必ず副作用も伴います。最近は副作用の少ない新薬が多く開発されましたが、万能という訳ではありません。医師法や薬事法のこともあるので、詳しくは下のリンクを参照ください。
参考:(社)日本精神科看護技術協会「向精神薬の病理作用と副作用」
母はいつも、薬を飲むと頭がぼーっとして何も考えられなくなることに、強い不快感と不安を感じていました。また、急激に太ったり、慢性的な便秘になるなどの副作用もあり、それが薬を拒絶する動機のひとつでもありました。
そもそも向精神薬の多くはかなり強い薬ですし、その成分は麻薬や覚せい剤に近いとも聞きます。疾患が長期に渡ると、薬漬けになってしまうことも課題です。
【投薬以外の治療法】
一般的には投薬だけではなく、多くの精神科病院では複数の治療法を組み合わせます。精神保健福祉士や作業療法士による、作業療法や心理教育などが行われます。この4月から障害者総合支援法が施行されましたが、既にその前進の障害者自立支援法に基づき、様々な自立訓練が行われています。母はよく、病院併設の施設で工作や編み物などをしていました。
市役所や病院の売店などで時々、障害者が作ったお菓子や手芸品を売っていますね。これは、細かい作業を集中して行うことが症状の抑制に有効であり、また社会復帰への足掛かりとなるためです。
参考:Wikipedia記事「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」
【身体拘束と人権問題】
前回書きましたが、症状が非常に悪化すると身体拘束されることがあります。その方法には段階があり、腰縄のようなものを装着して一定の範囲以上に動けなくすることもあれば、点滴を引き抜いたりする患者に対してはベッドに拘束するなどの方法も行われます。
これは主に、自傷行為や破壊行為といった、他の方法では避けがたい場合に限って行われます。重大な人権侵害にもつながりかねないため、精神保健福祉法に則って厳格に制限されています。
しかし残念ながら、違法な身体拘束によって虐待を行った摘発事例は実際にあります。極端な例でなくとも、違法に行われているケースが恒常化しているといった内部告発も、後を絶ちません。
参考:Wikipedia記事「身体拘束」
【タブー・オブ・タブー】
もっとも、さらに後ろ暗いイメージの治療法もあります。精神科医にとっても意見が分かれる「電気ショック療法」はその最たるものですが、今でも実際に行われています。
これは頭部の皮膚に当てた電極から電流を流し、人為的にけいれん発作を引き起こす治療法です。かなり古くから行われている治療法のひとつですが、効果については個人差もあり、有効性そのものに対する反論もあるようです。
また当然ながら、この治療は患者本人の承諾が困難です。また施術中の危険性にも考慮して、家族の了解の下、麻酔で意識の無い状態にして行うのが一般的です。結果として、人権上の問題も孕みます。加えて、心臓発作を起こすリスクもあります。
参考:Wikipedia記事「電気けいれん療法」
そうした背景から、これら治療をタブーとする精神科医は少なくありません。まさにタブーの中のタブーです。それでも、Wikipediaには、アメリカでもイギリスでも行われていると書かれています。
治療映像がありましたので、覚悟のある方だけどうぞ。私自身、見たのは初めてです。これを見て、残酷だ!やめろ!とタブーにするのは簡単です。しかしそれは主観的な印象に過ぎません。投薬治療だって身体拘束だって非常に残酷なものです。この映像資料はそうした社会へ一石を投じるものだと思います。
参考:Youtube「ドキュメンタリ宣言 精神科救急24時」part2
【精神外科と差別】
今では信じ難いことですが、頭部に穴をあけて脳の前頭葉にメスを入れるという、外科的な手術が行わた時代もあります。ただし、1975年に日本精神神経学会が廃止を宣言して以降は、行われていません。ロボトミーという言葉を聞いたことがある方もいるのではないでしょうか。不適切な言葉をあえて使いますが、その印象はまさに人体実験、フランケンシュタインの様相です。そのため、精神障害者を人間としてではなく実験対象であるかのように差別的に考える人もいて、深刻な差別の温床となりました。
参考:Wikipedia記事「精神外科」
【大量服用と多剤大量処方の関係】
以前にも書いた通り、精神疾患の病因ははっきりとわかっていません。それでも、最近の新薬は劇的に症状を改善するので、医師による処方が重要になります。しかし、ここで新たな問題が生じています。一部の救急病院では、向精神薬の大量服用で自殺を図り、救急搬送されてくる患者が急増しています。
参考:ダイヤモンドオンライン(NHK追跡!AtoZ)記事「“薬が効きづらい心の病”急増で、医療現場も混乱?「新型うつ」と「抗精神薬依存症」の因果関係」
大量服用は母も何度か経験しました。向精神薬の中には依存性の高いものがあり、大量服用すると死ぬ可能性もある強い薬ですので、慎重な処方が鉄則です。そもそも、精神疾患患者の多くは自殺リスクが高いため、極めて注意が必要です。にもかかわらず、一度に10種類以上もの薬を100錠も処方する医師がいます。ちなみに、記事によれば、向精神薬の多剤処方は日本だけの特徴ということです。
【投薬治療に関する様々な指摘】
統合失調症に限らず、精神疾患における投薬治療の現状に対しては、一部から強い批判があります。医学的、薬事的な観点から詳しくは言及しませんが、主に次のような指摘です。ただし、だからと言って、投薬治療をただちに止めるべきというような、強硬な主張がされている訳ではありません。投薬治療の効果が疑問視されている訳でもありませんので、その点は誤解しないで下さい。
・向精神薬による依存症や中毒症の発生と増加
・向精神薬が原因となる自殺と中毒死の増加の可能性
・SSRIなど抗うつ新薬の副作用が原因となる凶悪犯罪の発生
・小児患者に対する安易な投薬治療
・少ない保険点数を補うための短時間診療による誤診と誤処方
・投薬治療だけに頼った治療効果の低い治療
・安易な多剤大量処方による向精神薬の違法転売
・減薬治療を行わない医師と製薬会社の癒着構造
参考:精神医療被害者連絡会webサイト
参考:クローズアップ現代(2012年6月13日放送)「“薬漬け”になりたくない~向精神薬をのむ子ども~」
参考:Youtube動画「抗うつ剤SSRI の死角 副作用に攻撃性・衝動性も」
こうして並べると、統合失調症の治療がかなり過酷なものだということがよくわかります。それは、この病気がきれい事では片付かないもので、いかに切実で深刻であるかを象徴しています。また一方では、多くの人が疑問を抱くことと思います。やがてその疑問はひとつの壁へ突き当たります。
それは、この病気が一体何であるのか、実はよくわっていないという難問です。症状はあるけど病巣はどこにもない。原因はわからないけど薬で症状は改善する。治る人もいるし、治らない人もいる。果たしてそれは病気と言えるのか。
ということで、次回はいよいよ本題です。統合失調症の様々な病因説について書きたいと思っています。今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。次回もまたお付き合いくだされば幸いです。
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