この国のタブー -91ページ目

この国のタブー

素人がタブーに挑戦します。
素人だけに、それみんな知ってるよ?ってこともあるかもしれませんが。
コメント、質問、大歓迎です。お手やわらかにお願いします。

 続編ですので、前回の投稿はこちらをご覧ください。
 →驚愕!専業主婦の経済生産性(1)



最新の統計が無いのが残念ですが、前回も最後に引用した、少し古いこんな資料を発見しました。1981年から91年のデータに基づき、本書は編纂されています。
データが示す事実は、多くの人が世の中の専業主婦に対して描いているイメージとは、かなり異なるようです。ということで、今回は本書を主な材料にして書きました。

あなたの家事の値段はおいくらですか?―無償労働の貨幣評価についての報告/大蔵省印刷局

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【労働時間の推移】

下に示すのは、「社会生活基本調査(総務省統計局)」から導き出された統計データで、30代専業主婦が1年間に行った「家計の無償労働」の国民平均です。30代というのは世代別にみて最も労働時間が長い世代です。週5日勤務に換算すると、1日あたり10~11時間の労働になります。

 ・81年 2,664時間
 ・86年 2,586時間
 ・91年 2,978時間

この推移を見てあれれ?と思う人は少なくないはずです。なぜなら、家電製品の進化、流通や交通の充実によって、家事労働は一般的には減っていると考える人が多いのです。しかし現実には増加しています。
確かに、食洗機や全自動洗濯乾燥機、ロボット掃除機なんてものもありますし、炊事、洗濯、掃除の労働量は減っています。一方で増大しているのは、介護、育児、買い物です。

高齢化により介護労働は増大する一方というのは、もう語るべくもありません。育児時間は少子化によって減ったかと思いきや、家庭教育の重要性は高まり続けています。「あいうえお」は小学校でも幼稚園でもなく、親が家庭で教えるというケースが増えています。また昔は放ったらかしでも育ちましたが、安全神話は崩壊しました。今では公園に一人で遊びに行かせることすら大きなリスクと考えるのが一般的です。

さらに買い物も困難になっています。昔のように、夕飯の献立を考えてくれる魚屋さんや八百屋さんは潰れてしまい、スーパーマーケットに変わりました。歯ブラシ1本、洗剤ひとつ買うだけでも、バリュー商品から高機能製品まで悩みに悩める品揃えです。「1円でも安く良いものを」と追求しネット比較まで行うのですから、買い物に費やす時間は倍増します。かつてはただ買ってくれば足りた仕事が、今では「家計仕分け人」という仕事まで成立する程、買い物は複雑化し高度化しています。
 参考:荻原博子webサイト


【専業主婦の年収】

では家事労働を賃金換算したら一体いくらになるでしょう。本書では3つの算出モデルが示されています。

もし専業主婦が働きに出た場合、同じ労働時間で得られるはずの賃金を平均時給から計算すると次のようになります。91年の推計時点で、現在のサラリーマン平均年収を超えていることがわかります。
 ・81年 1,952,773円
 ・86年 2,586,052円
 ・91年 3,481,060円

次に、食事は調理師見習い、掃除はビル清掃員、育児は保母という具合に、家事労働を各専門家へそれぞれ外注した場合の費用計算から算出します。ちなみに調理師見習いとは要するに定食屋のバイトのイメージですから、栄養価やバランスなど期待できません。つまり、専門家とは言っても最低限の水準です。
 ・81年 1,793,353円
 ・86年 2,253,046円
 ・91年 2,971,435円

最後の方法は、家事使用人を雇った場合のコストから算出したモデルです。ただし、この家事使用人は最低自給で計算されているなど、かなり非現実的です。実際には恐らく派遣家政婦を雇うことになりますが、その場合は以下の倍の費用がかかると思って下さい。
 ・81年 1,369,339円
 ・86年 1,762,830円
 ・91年 2,352,470円

以上の数字を素直に読み解けば、専業主婦の家事労働生産はサラリーマンと全く差がありませんね。
前回記事にあった「salary.com」の1,000万円超というデータは、全ての家事を専門派遣社員に外注した場合のコストであり、かなりオーバーな母の日サービス報道です。一方の交通事故判例が示している僅か200万円という金額は、自賠責保険会社の支払い水準で、つまり最低の金額だったわけです。


【専業主婦の社会的役割】

上記の試算は客観的という点で大いに評価できる一方、最も大切な点が欠落していることを改めて気づかせます。それは、人と社会の運営そのものです。
専業主婦がいなくなったら、一体誰がPTAや自治会を運営するのでしょう。地域ボランティア活動の7割は専業主婦が担っています。また教育や医療をはじめ、療養や介護の全てを行政は補ってくれません。ボランティア無しで今日の行政福祉サービスは成し得ないのです。

そして最も重要な役割は、出産と育児です。子どもは経済成長のガソリンです。この国の宝です。保育所に放り込んでおいても体は大きくなるかもしれません。しかし、次世代を担えるよな人物に育つのでしょうか。将来のGDPを作る仕事は、専業主婦が背負った大きな未来だということを、経済学は真摯に受け止める必要があります。

「食っちゃ寝してる」という批判に対してはこんな数字も出てきます。
「テレビ・ラジオ・新聞・雑誌、休養・くつろぎ、趣味・娯楽、スポーツ、交際・付き合い」に費やす1週間の合計時間の男女平均は次の通りです。

・男性 4.54時間
・女性 4.07時間

飲んだくれてゴロゴロしてるのはむしろ男みたいですね・・・。すみません。。。


これら経済モデルは非常に価値あるデータです。しかしこの統計はもう取られていないようで、最新データはどこを探しても見当たりませんでした。残念ですね。TPPより消費税よりも大きな「家計の無償労働」をタブー視するのは、ジェンダー教育を推進する女子大教授と、男を中心とした経済社会の都合のように思えてなりません。



【専業主婦の主張】

前回冒頭でも述べましたが、専業主婦を擁護する本はほとんどありません。唯一見つけた『ススメ!専業主婦』という本を最後にご紹介します。

バリキャリ(バリバリのキャリアウーマン)に対抗して、「バリ専主婦」を自称する愛甲知子という方が、主婦目線から主張しているエッセイです。当のご本人は専業主婦だそうですから、これ以外の著作はありません。僅か80ページの中に、難しい論理は一切書いてありません。というか、経験談と一部誤解に基づく主張だけが書かれています。それだけに、主婦目線のリアルさがよく伝って、そのメッセージは時に心に突き刺さります。

・共働きの子は不作法。私たち専業主婦が躾けている。
・共働きの子の怪我や病気を救うのも専業主婦。
・お婆ちゃん任せにされた子は甘ったれて我がまま。
・義理の親と同居すると、母を真似る子供は敬語を使える。
・専業主婦など3日で飽きるが、家族のためにそれでも働く。
・母は仕事や趣味に走っても、育児以上の興味は持つな。
・凶悪事件を起こした子の親は同罪。
・虐待したり殺す前に、子供を私のところへ里子に出せ。
・PTA役員の日常はキャリアウーマンより激務。
・人間教育や社会教育は私がやるので、総合的な学習はいらない。教師はそんなことより教育技能の向上に全力を注げ。


専業主婦の真実の姿が、少しはわかったような気がします。

願わくばこの記事が!!!
「妻の何倍も働く夫」と自認する方々を敵に回さないことを祈りつつ。夫婦の喧嘩の火種としてではなく、解決の糸口に活用いただけることを祈りつつ。専業主婦の味方として、やがてはマツコ・デラックスのポジションを乗っ取るかも知れない、私の未来にも期待しつつ。今回も最後まで読んで下さりありがとうございました。



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過去記事の補足と考察
に続く