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この国のタブー

素人がタブーに挑戦します。
素人だけに、それみんな知ってるよ?ってこともあるかもしれませんが。
コメント、質問、大歓迎です。お手やわらかにお願いします。

 続編ですので、前回の投稿はこちらをご覧ください。
 →あなたの情報は盗まれてます(1)


前回、NSAの諜報活動とエシュロンの存在、無料サイトやSNSの危険性について述べました。
私がなぜ、遠い海の向こうの話にこれほど大袈裟に敏感になるのか。それには、「米国愛国者法」の存在が大きいのです。



【米国愛国者法の恐怖】

この法律は、2001年の米国同時多発テロ事件を契機としてブッシュ政権が成立させた悪法です。その内容は、「テロ抑止」の名目で、米国内に居る外国人に対する行政当局の監視権限を大幅に強化したものです。電話やEメール、医療情報や金融情報、図書館の貸し出し記録までが、裁判所命令を経ずして捜査、押収可能となりました。また驚くことに、事件後わずか45日でスピード可決されています。

当然ながらこんな法律は重大な人権侵害を招く可能性がありますが、それを政府も議会も容認したのです。一部の訴訟では既に違憲判決も出ています。ネット上の資料を元に、その規定する条文のどこが問題であるのか、わかり易く整理してみました。

 ①定義の曖昧な「外国諜報情報」を捜査機関および諜報機関で共有できる。
 ②令状の通知なく家宅捜索ができる。つまり裁判所の許可なくハッキングも可能。
 ③諜報活動は「重要な目的のうちの一つ」で良い。つまり操作目的外の諜報が可能。
 ④「テロ等に関連している」と言うだけで、裁判所命令無しで金融機関やプロバイダへ個人情報の提出を求められる。
 参考:国立国会図書館資料「米国愛国者法(反テロ法)(上)」

つまり今回のNSAの「プリズム」スキャンダルは②~④に該当すると思われますが、それにしたって拡大解釈すぎるように思います。これらが政府政策として本当に行われ、大手ネット会社が皆でこれに加担したのだとすれば、本当に呆れます。

もちろん、その被害者には日本人も含まれるはずです。大手ネット会社が保有するサーバー設備は、システムを国境線で分断している訳ではありませんから、米国外の顧客データも漏えいした可能性は極めて高いでしょう。愛国者法がある限り、私達の情報はどんどん盗まれ、好き勝手に使われていきます。




【第三の戦争】

諜報貧国の日本に対して、米国は諜報超大国です。それもそのはずで、米国は情報戦争を、現実の戦争、経済戦争に続く第三の戦争と定義しているのです。

現実の戦争は、陸軍、海軍、空軍といった具合に技術が進歩し、東西冷戦時に登場した大陸間弾道ミサイルはロケット技術ですから、いわば宇宙軍です。多くの日本人は、NASA(米国航空宇宙局)の宇宙開発に夢のイメージを抱きがちですが、それは幻想です。宇宙開発は、宇宙空間という新しいフロンティアの分捕り合いに他なりません。つまり、宇宙空間の覇権や、宇宙を経由した脅威に対して、自国の安全保障を担保するための政策なのです。
 参考:Wikipedia記事「アメリカ航空宇宙局」

東西冷戦はいわば経済戦争の勝利でしたが、それに勝利し金融でも超大国へと変貌した米国にとって、次の戦いは情報戦争なのです。20世紀の最後にやってきたIT革命は、サイバー空間という新たな戦場を生み出しました。ここで情報を支配することが、次の勝利ということになります。



【情報の非対称性】

情報収集能力が現実の戦争でも大きく影響することは古くから知られていますが、情報は経済においても絶対的優位を生み出します。

一般に、足の速い人と足の遅い人は人数が少なくて、最も多いのは中位の人です。道徳的な人と非道徳な人も同様です。X軸を足の速さまたは道徳性、Y軸を人口としてグラフに表すと、左右対称な二等辺三角形の分布が完成します。これに対して、情報量のグラフは左右対称になりません。情報量の少ない人がとても多く、多い人がとても少ないからです。このグラフ傾向を、「非対称性」と呼びます。貯蓄や所得も同じですね。

市場経済では情報がすべてを支配します。例えば最も良質な商品を最も安価に手に入れられるのは、あらゆる情報に精通した人だけです。つまり、情報を持つ者と持たない者同士の関係性には、経済的な平等は生じません。
古典経済学の権威であるケネス・アローは、市場原理は「情報の非対称性」によって公平性を欠くので、やがて失敗すると60年代に既に指摘していました。
 参考:Wikipedia記事「情報の非対称性」

アローによれば、「完全情報(=全ての人が全ての情報を平等に入手する)の世界」が実現されなければ、公平な市場経済は実現されません。どんなにネットが普及しても、今度はその膨大な情報量を分析する手間が生じるため、実際に「完全情報の世界」など起こりません。つまり、最初にどれだけ多くの情報を支配できるかが全てです。情報を支配する者が経済を支配するのです。


だから米国はこの勝利に必死です。私達の社会がその公害に気付く頃、米国はまた唯一勝者になるつもりです。
私は反米を自称していますが、米国のこういう所は特に嫌いな要素のひとつです。彼らは本当に自分たちが世界を支配できると信じているのでしょう。そのために、企業活動のみならず、私達の日常をも脅かし始めている気がしてなりません。PC無し、スマホ無しで生きることが出来たらどんなに良いか。そんなことも感じてしまいます。

今回も最後まで読んで下さりありがとうございました。



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