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この国のタブー

素人がタブーに挑戦します。
素人だけに、それみんな知ってるよ?ってこともあるかもしれませんが。
コメント、質問、大歓迎です。お手やわらかにお願いします。

ここ数週間、飲みに出かけてタクシーに乗ると、飲み屋もタクシーも景況が盛り返しているように感じます。個人的には、2月に成立した平成24年度補正予算10兆円の効果だろうと見ているので、もう長くても1~2カ月かなと勝手に予想しています。

5月以降、経済指標も奮わないですね。インフレターゲティングによる円安はドル安に押され気味ですし、アベノミクスによる株価は利益確定売り?ということで停滞気味です。にもかかわらず、麻生財相は消費増税を計画通り進めるつもりのようです。来年4月には、105円の商品は108円(※)に値上がりすることになります。
 参考:msn産経ニュース(2013.5.31)「消費税の増税時期は「今は延ばす感じない」麻生財務相」



【消費増税の理念】

消費増税の理由はもはや語るべくもありませんが、高齢化による社会保障費の増大と、働く現役世代の減少です。つまり、社会保障費が増加することは決まっているのに、それを支える世代が減っているのです。根本的な解決には、今から子供を大勢生むか、外国人労働者を受け入れるしかありませんが、どちらも課題が山積し実現には遠い道のりがあります。
 参考:政府広報オンライン「総人口と65歳以上人口割合(図)」
 参考:厚生労働省「社会保障に係る費用の将来推計の改定について(平成24年3月)」

働く現役世代の負担が限界を迎えるのは間近ですから、今回の消費増税の議論は始まりました。つまり、増税のターゲットは富裕高齢者層です。最初にこれを忘れないでください。



【公正?公平?平等?】

伝統的な政治の役割のひとつに「富の再分配」という福祉政策があります。これは、富裕層から集めた財を貧困層にも配分することで、社会の均衡を保つというものです。つまり、良し悪しはさて置き、増税は本来、富裕層をターゲットにして行われます。これを助け合い精神と言えば聞こえが良いでしょうが、私個人はその本質を、「平等」精神にあると思っています。
 参考:Wikipedia記事「富の再分配」

政治を学ぶ人の中には、消費税を「最も公平な税」と呼ぶ人がいます。所得税や法人税は節税ができますし、何より事情に応じた減免措置があります。一方の消費税は、使った分だけ必ず負担しなければなりませんから、逃げ道がありません。従って、貧乏人も金持ちも、公平に負担することができるというわけです。
しかし、お金を使わなければ負担しなくても良いものです。貯蓄する余裕のない人は所得の全てを使うわけですから、それだけ消費税も負担します。しかし多額の貯蓄ができるような人は、消費税を負担せずに済んでしまうわけです。

これ、何だかおかしいですね。いくら公平であるとは言っても、実際に富の再分配が機能していませんから、平等とは程遠い印象を受けます。



【不公正な税制改革】

なぜこんなことが起こるのでしょう。考えてみれば、社会制度を作りコントロールする世代は50代後半~60代ですから、まさに間もなくこの富裕高齢者層に入る人達です。この世代の「悪癖」についてはこれまで何度も記事にしていますが、制度を作る人が制度に賛同しませんから、いつもマッチポンプ状態です。制度にはいつも逃げ道が作られ、改革は骨抜きにされてしまいます。
 参考:過去記事「若者の未来」シリーズ

その最たる例を挙げてみましょう。
国民年金の支給額は、2005年の制度改正によって「マクロ物価スライド方式」で算出されます。もし増税によって物価が上昇しても、デフレ経済下で働く現役世代の所得が増えていなければ、支給額は据え置かれます。つまり、可処分所得が減少するので生活はより苦しくなります。
一方、厚生年金等の支給額は、2005年以前の「物価スライド方式」が相変わらず適応されていますので、増税で物価が上昇すれば支給額も増額されます。つまり何も損をしません。国民年金受給者よりも所得の高い層だけが優遇されるのです。公平や平等どころか、不公正さを覚えずにはいられません。
 参考:Wikipedia記事「マクロ経済スライド」



【働く現役世代の不公平負担】

一般に、歳を重ねるごとに貯蓄は増え、負債(主に住宅ローン)は減ります。世代別に見ると、貯蓄額が平均を上回り、負債額が平均を下回る世代は50代以降です。つまり、育児や養育を終えた家計が最も潤っていることになります。
 参考:GarbageNEWS.com(2011/12/22)「年齢階層別の収入や負債の推移をグラフ化してみる(2010年分データ反映版)」

逆に見れば、貯蓄ができずに所得の多くを消費する若い世代ほど、家計に占める消費税負担の割合は高くなります。つまりここでも、若者が苦しく年寄りが楽をする構図が出来上がります。強調したいのですが、「若い時に苦労した分、歳を取ったら楽をしている」のではありません。ある特定の世代が、若い時から老後まで楽をするつもりなのです。
 参考:過去記事「若者に捧ぐ魂の叫び(2)」



【消費増税で得する企業】

ここで視点を変えてみましょう。
企業は一般に、消費増税で損をすることはあっても、得をすることはありません。販売価格が上昇し売上が減少するか、あるいは価格を据え置いて利益を圧迫するかのどちらかです。しかし輸出企業だけは別です。我が国の大手輸出メーカーでは、消費税を1円たりとも支払っていないケースが多発しています。
 参考:真実は何?2 読書日記と新聞スクラップ「トヨタは消費税を払っていない」

消費税は買い手が売り手に支払う形で一旦預ける制度ですが、これは国内向け売買にしか適用されません。GATT(関税および貿易に関する一般協定)が消費地以外での課税を認めてないためです。従って大手輸出メーカーには、輸出分の消費税が後で還付されます。場合によっては1円も払わないどころか、支払った額以上の莫大な還付金を手にしているケースもあり、それが年間収益を超えたケースすらあるのです。
詳しくは以下のリンク先資料がわかり易いです。

消費税の廃止を求める関西連絡会「輸出企業に消費税が還付されるしくみ」より引用)
輸出大企業には表1のように巨額の消費税が還付されています。トヨタ自動車1社で1,710億円、輸出上位10社で6,842億円にもなります。
(中略)
いずれにしても、消費税は転嫁の実態からいって経済的弱者から強者への所得移転を促す大企業優遇の税制といえるでしょう。
(引用ここまで)

つまり、巨大な輸出事業を抱える企業は、そうでない競合他社に対して非常に有利です。消費税を棒引きできるどころか、巨額の副収入が得られるからです。もちろん全ての企業は、消費増税によって損をする可能性がありますが、こうした背景があるからこそ、大手企業の利益団体たる経団連も増税を推進するのです。中小企業にとって、こんな不公正な話はありません。



【消費増税で得する人】

タイトルの結論はもう明らかでしょう。消費増税は誰にとっても苦しいものだというのは幻想です。富は再分配されませんし、富裕層だけに逃げ道が準備されています。ワイドショーでよく、丸の内や銀座を歩く人に「消費増税をどう思いますか?」などと質問する光景を目にしますが、あんなものは全てが虚構です。質問者も回答者も得する人々だからです。
しかも、消費増税自体が消費を減退させることも過去の経験によって明らかですから、もう言うべくもありません。

本当にこの国を良くしようと思うならば、やるべき増税は消費税ではありません。私は、固定資産税や相続税の増税が最適だと思います。若者を優遇し、子供を生める世の中を作るべきではありませんか。

今回も最後まで読んで下さり、ありがとうございました。



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【2013/8/12追記】

※印の箇所、正しくは「108円」ですが、「107円」と誤記されていました。肝心なところでミスる愚かさに、我ながら大変恥ずかしく・・・。こっそり訂正しました。




過去記事の補足と考察
に続く