
「もしも許されるのなら」
sixxxxxx発売前の7/30、彼女はTwitterで以下のようにつぶやいた。

彼女が、日本から、ファンから距離を置く一方で、ファンもまた彼女に距離を置き始めていた。
そんな中、彼女はロサンゼルスを離れ、日本に戻ってきた。
彼女が本気で音楽と向き合い、創り出した真夜中のサーカス。
正直、集客に関しては過去最低レベルであったが、当然の結果でもあった。
なぜならば、2014年は地方のファンを大切にできていなかったのだから。
それでも彼女を見放さずに待ち続けたファン。
彼女はそんな温かいファンを各会場で目の当たりにし、自分が歌手活動を疎かにしたことを悔やんだと思う。
待ち続けてくれたファンへの感謝・今までの懺悔・これからの決意を「Sorrows」の歌詞に込めた。
【Sorrows】
手を伸ばしてももう遅くて
取り戻せないことに気付いた
愚かな私は遥か遠い所まで
逃げて来ていた
見上げた空はもう誰とも
繋がってなどいない気がした
強く風吹いたとき 雨が打ちつけた時
君だけが僕を諦めずにいたんだよ
すごく淋しい夜も
苦しかった朝焼けも
君を想えば負けてなどいられなくて
(中略)
まだ指さされてるかな
まだ許されてないかな
そんな僕を見て君は泣いてるかな
もしも滑稽だって
もしも笑われたって
二度と諦めたりしない
君のために
また、「Shape of love」では一度離れたファンに向き合う姿勢を歌っている。
【Shape of love】
それでもねまた人を愛して
傷ついてって繰り返すよ
涙はいつのに日にか最後に
意味を持たせてくれるからと
愛しているの一言だけで
何もかもが大丈夫で
どんな事でも乗り越えられる
そんな魔法の力があるよ
「Sorrows」「Shape of love」では浜崎あゆみのありのままをさらけ出している歌詞が印象的であった。
一方で、新しい試みとして台湾の人気グループSpeXialとタッグを組んだ「Sayonara feat.SpeXial」

この楽曲は恐らくかなり前の段階から構成があったと想う。
というのも、「来年の私はアジア全域を揺さぶりに行く活動に~」とあゆが宣言していたからだ。
その第一弾がアジア全土で圧倒的な人気を誇るシンガポール出身のシンガーソングライターJJ Linの楽曲提供による「The GIFT」であって、今回の「Sayonara feat.SpeXial」は第二弾という位置づけになるだろう。
アジア全域を揺さぶりに行くというのは、アジア各地での人気アーティストとのコラボという意味合いだったのだろうか?
個人的にはアジアツアーがあると予想していたが、今後の動向にも注目していきたい。
肝心の「Sayonara feat.SpeXial」は、DAISHI DANCEによって創られた楽曲。
今回のアルバムで、唯一湯汲さん以外の作曲家が手がけたものだ。
そのため、他の楽曲と比べると若干毛色が違う。
というのも、DAISHI DANCEと言えば、2014年発売のアルバム『Colours』に収録されている「What is forever love」の作曲家でもあり、あゆへの楽曲提供は今作が2作目である。
前作の「What is forever love」からの流れを汲み、「Sayonara feat.SpeXial」もEDM曲調で構成されている。
あゆとSpeXialの掛け合いもさることながら、メロディーだけでもビートが心地よくBGMとしても秀逸な楽曲に仕上がったと想う。
浜崎あゆみらしさは守りながらも、新たなアーティストとコラボし、EDMという前々作で切り開いた新たなジャンルを更に進化させようとする試み。
これからも新しい挑戦を続けていってほしい。
その他の楽曲と言えば、底抜けて明るいポップチューンに仕上がった「Step by step」「Sky high」の2曲も印象的だ。
この2曲に共通する点でいうと、「お互いいろいろあったけど、前を向いて進んで行こうよ」といったメッセージに尽きる。

【Step by step】
もう一歩って
例えばそれが最後の
一歩になっても悔やまないように
もう一歩って
踏み出す僕らの勇気は
100歩分以上の意味を持つから
あと一歩って
どれだけカッコ悪くって
笑われたって諦めない
あと一歩って
踏ん張る僕らの心が
世界を動かすチカラになる
【Sky high】
風より早く空より高く
今の僕らに不可能はなくて
今目の前を飛ぶ鳥のように
君を連れて羽ばたいて行くから
踏み出すのは相変わらずこわくて勇気がいるよね
おんなじこと繰り返してしまうんじゃないかとかってね
強さを2人分持って行くから例えば
優しさ2人分持っていてくれたら大丈夫だね
輝きながら乗り越えて行こう
君に見せたいよ虹の向こう側
足下に舞う花びらがふわり
優しく教えてる
夢の続きを
そして、残す楽曲は「Summer diary」だ。
冒頭でこの楽曲の「もしも許されるのなら」という歌詞が今回のアルバムのテーマだと書いたのは、この歌が今の浜崎あゆみの想いや願いを、最も強く表現しているからである。

【Summer diary】
君から感じるものが全部ね
ただ好きでたまらなくて
その匂いだとか仕草だとかもう
いちいち愛しくて胸が苦しくて
この夏に魔法をかけていたいよずっと
そして君の隣に居させて
生まれて初めての感情を知って
大切にしていたいんだよ
この夏のことを忘れないよずっと
心のダイアリーに綴るよ
叶うならこのままで変わらないでずっと
このページ埋めていきたいよ
もしも許されるのなら
ここまで読んでくれたみなさんならもうお分かりだろうが、この歌詞の「君」は「ファン(=Team Ayu)」である。
浜崎あゆみからの想いや願望が綴られる一方で、ある言葉がひっかかる。
それが、
"もしも許されるのなら"
という一言なのだ。
歌詞の中の浜崎あゆみの様々な想いや願望は、"ファンに許してもらえたら"、叶うのだ。
浜崎あゆみの幸せや願望を叶えてあげられるラストピースは、僕らに委ねられていたのだ。
僕は、彼女にこう答えたい。
「どうかもう泣かないで
君の想いは伝わっているから」
彼女がありのままの感情をさらけ出してくれたアルバム『sixxxxxx』と共に、2015年の夏の思い出を創っていきたいと想う。
いつか、ayuの歌声で、
今年の夏を思い出せるように。
