●フリースクールの授業料に補助が出るということ

知り合いから、こんなニュースを教えてもらいました。


「フリースクールの授業料、東京都が補助倍増へ 1人最大24万円に」

https://www.asahi.com/articles/ASR1T6TKSR1TOXIE02S.html

 

フリースクールに通う子ども1人につき、

最大年間24万円の助成金を用意するとのことです。

 

東京都の場合、

フリースクールの平均利用料は4万5千円とのことなので、

月2万円の補助になるということです。

フリースクールの費用が半額ほどになるのは、経済的にとても助かると思います。

 

まずは、東京都がここに気づいてくれてありがとう、

という気持ちで感謝もしたいし評価もしたいと思いました。

 

ただよく読むと、まだまだもろ手を挙げてバンザイ、

という状況ではないことがわかってきました。

 

東京都は2022年度に、フリースクールへ通う家庭の

「実態調査」を始めたのだそうです。

そして、その調査に協力した家庭に

月1万円を支給したとのこと。

 

2022年度に、実質1万円の補助が出た家庭が存在した、

ということです。

この金額を、2023年度には月2万円にするという予算を

議会に計上したという話です。

 

つまり、補助が出るのは

一部の限られた家庭のみということのようです。

 

●補助が出る家庭と出ない家庭が存在するという事実

予算がでるのはあくまで「調査協力」に対してです。

不登校の子がフリースクールに通うのを助けるために、

予算がつくわけではないのです。

 

もちろん、調査しないよりはした方がいいのは事実。

そこは大いに評価するところだと思います。

 

ただ、10年以上不登校に関わってきた身としては、

どうしても

 

「今ごろ調査? 遅すぎる……」

という気持ちになってしまうのです。

 

「今から調査? 

何年も前から経済的に困ってるって言ってるんだけどな」

と、思ってしまうのです。。。

 

要するに、調査に参加した家庭はいいけど、

参加していない家庭に恩恵はない。

 

つまり、経済的な問題でフリースクールに通えない家庭には、補助が行き届かないということになってしまいます。

 

そして、さまざまな疑問もわいてきました。

 

・調査協力はどこで行われているのか?

・調査対象はどのように選んだのか?

・そのフリースクールは本当に良心的な運営をしているのか?

 

などなど。

 

●そもそもフリースクールに通えている子自体が少ないという現実

1万円だった予算を2万円にしようということは、

ある程度実態をつかんでいただけたのかな、とは思います。

 

ただ、実際不登校になってフリースクールに通えているのは

不登校児全体の1%程度、という話もあります。

 

そもそも、フリースクールに行っている人だけを対象にしているのが、

ちょっと全体が見えていないという印象があります。

 

実際に不登校を経験していないと、

そこに思いが至らないというのもなんとなく理解できます

が、調査の方法はもう少し考えた方がよいように感じます。

 

●不登校になると目に見えないいろいろなお金がかかる

でも、正直なところ、

不登校になると経済的な困りごとがたくさん出てきます。

 

給食が利用できなくなることによる食費の増加、

医療費やカウンセリングの費用、

塾・家庭教師・フリースクールなど民間の学習支援にかかる費用など、

本当にさまざまです。

 

全日制の学校へ進む予定だったのが、

子どもの性格に合った環境が公立学校にない場合は、

私立学校を選ぶことになります。

 

私立を選んだ場合は、公立に通うのとは比べ物にならないほどの費用がかかります。

 

●調査ではなく、不登校のための予算をとってほしい

私が主催している不登校支援団体では、

何年か前からフリースクールにかかる費用の補助をしてほしいということを、

住んでいる自治体にお願いしてきました。

 

ただ、協力してくれている区議さんから

「予算を出してもらうのは、他の施策との関わりもあるので

なかなか難しい」

という話を聞いていたので、

 

基本的に「難しいとは思いますが」という接頭語をつけて、

やんわりお願いしてきた経緯があります。

 

自治体の不登校担当者の方とお話をしたり、

議員の方に行政の仕組みを教えてもらったりする中で、

予算を割くのが大変なことは理解しています。

 

ただ、これだけ不登校の子が増えている中、

のんびり調査をしている段階ではないと思うのが

正直なところです。

 

自分の子どもを見ていて実感しますが、

子どもたちはあっという間に大きくなってしまいます。

 

調査対象だけではなく、

不登校になっているすべての子どもに、

できるだけ早く救いの手を伸ばしてほしいと思います。

 

今回の東京都の取り組みが、

今後広がっていくことを心から期待しています。