10月6日付の日本経済新聞経済・政策面の記事。
「経済産業省は5日、原子力規制委員会の会合で、原則40年、最長60年と定める原子力発電所の運転期間の延長に向けた法整備を検討する方針を示した。規制委の山中伸介委員長は60年を超える運転を事実上認める考えを明らかにした。経産省は年末までに結論を出す方針で、政府内での調整を加速させる」
「山中委員長は運転期間に関する安全規制について『一義的な上限を決めるのは技術的に不可能だ』と指摘した。『運転期間がどうなろうとも厳正な規制ができる仕組みにしていきたい』と述べた。何年かおきに検査や認可をする制度にするといった規制が想定されるとの見方を示した」
「原発の運転期間を巡っては米英仏では運転期間の上限がなく、定期的に規制当局が安全性を確認する仕組みだ。米国では60年を超えて運転できる原子炉が6基ある」
「日本ではもともと規定がなく、11年の原発事故を受けて12年に上限を設定した。運転期間の上限の延長や撤廃は反発を招く懸念がある」
欧米の例を参照にするのはいいとしても、運転期間の上限を設定した理由は改めて当時関わった人に聞いてみる必要があるのではないか。電力不足を理由に無批判に原発利用を広げ、原発事故の教訓を反故にすることだけは避けたい。
「古い原発に比べて新しい炉は点検や部品交換が容易で、原子炉の材料や構造の耐久性が高いといった改良で安全性が向上している。政府・与党内には『原発を活用するなら新型炉の建設が合理的』との声もある」
このように技術開発に伴う要因を考慮するなど、合理的な議論を進めてほしい。
10月6日付日本経済新聞1面。
「全国に約1400ある健康保険組合の半数超で、2021年度は保険料収入から医療費などの給付を差し引いた収支が赤字だったことが明らかになった。前年度の33%から急増した。医療費の増加に加え、65歳以上の高齢者医療への拠出金が膨らみ、大企業の組合でも赤字が相次ぐ。赤字が続けば保険料率を上げざるを得ず、給付と負担の見直しが急務になる」
今日のことばによると、健康保険組合とはーー。
▽…公的医療保険を運営するために特別につくられた法人。従業員と勤務先が毎月払う健康保険料をもとに、医療費の支払いなどの保険給付、健康診断などの保健事業を担っている。主に大企業の従業員と家族ら約2900万人が加入する。保険料は労使折半だが、会社側が多く拠出していることもある。
▽…健保組合は1990年代初頭には1800を超えていたが、解散や合併が続いて直近では1400を割っている。加入者数は近年はほぼ横ばいだ。自前の健保組合を持っていない中小企業の従業員や家族は全国健康保険協会(協会けんぽ)に加入する。健保組合が財政難などで解散した場合は、加入者は協会けんぽに移る。
健保組合は比較的財政が安定していると思っていたが、やはり少子高齢化の波に争うことはできず、運営が難しくなっている。
「赤字の要因には高齢化に伴う医療費の伸びに加え、現役世代が入る健保組合から65歳以上の高齢者医療への拠出金がある。収入が乏しい高齢者を支えるためだが、75歳以上の後期高齢者の増加とともに医療費が伸び、拠出が膨らむ。21年度は保険料収入が前年度比1%増の約8.2兆円だったのに対し、拠出金は約3.6兆円と3%増えた」
8月1日付日本経済新聞朝刊女性面。
「研究開発に性差の視点を取り入れる「ジェンダード・イノベーション」が知られるようになってきた。オス中心の動物実験や、男性の人体ダミーに基づく安全設計などによって様々な偏りがある現状を明らかにし、性差を考慮することで研究開発の質を高めようという考え方だ」「お茶の水女子大学は4月、「ジェンダード・イノベーション研究所」を設立した。「この分野で『研究所』という実体的な組織ができるのは世界でも初めて」(所長の石井クンツ昌子さん)。医療や介護、トイレの設計など幅広いテーマで、性差を取り入れた研究の計画が採択された」
「ジェンダード・イノベーションとは、生物学的な性別(セックス)や社会的な性別(ジェンダー)の性差を分析し、研究開発に組み入れることでより質の高い研究や技術革新を目指す考え方だ。提唱者であるロンダ・シービンガー教授が所属する米スタンフォード大学のプロジェクトサイトでは、研究開発の担い手が男性中心だったために無意識に男性が基準となり、性差が見過ごされてきた多くの事例を紹介している」
「ジェンダード・イノベーションは多様な業種に広がりつつある。専門家の男性比率が圧倒的に高い人工知能(AI)分野もそのひとつだ。学習するデータの収集やアルゴリズムの設計、運用などの過程に入り込んだバイアスが、女性やマイノリティーに不利益や差別されやすい状況をもたらすことが知られている」
「農業機械大手の井関農機は性差分析を商品性向上につなげた。初めてまとまった形で女性ユーザーへのヒアリングを実施すると「男性とは体力や体格の差があり、ハンドルやペダルに手足が届きにくい」「日焼けが気になる」といった生の声が次々と上がった。そこでトラクターの座席を調整できるようにしたり、乗り込むときにつかまるグリップを付けたりしたほか、大型の日よけもつけた新製品を開発。15年に発売した」
女性らしさ、女性の特徴を尊重しないのも、ある種の差別?