クラブワールドカップ決勝について | 日本で活動中のサッカー監督のブログ

日本で活動中のサッカー監督のブログ

バルセロナで修行してきましたが、2017年より日本で活動しております。

未完のタイトルということで思った以上にバルササポーターの
熱狂がすごかったですね。試合後は道を行きかう自動車が
祝福のクラクションを鳴らして町中がうるさいぐらいでした。
それほど彼らを熱狂させたのはやはりエストゥディアンテスが
バルサと戦うに十分値するチームだったからだと思います。
先にエストゥディアンテスが先制点をとり、そこから逆転劇をバルサが
見せなければ、ここまで盛り上がることはなかったような気がします。

特にエストゥディアンテスの守備ブロックがすばらしかったです。
前線の選手のプレスを始めるタイミングとパスコースを消す方向の連動が
完璧で、珍しくピケのパスミスが頻繁に見られました。
サラゴサ戦でのバルサはディフェンダーとピボーテでボールを回して
相手の3ライン(FW-MF-DF)を間延びさせつつ
MF同士やFW同士の横のポジションチェンジではなく、FWとMFの縦の
ポジションチェンジを駆使して、相手の堅固な守備ブロックを
攻略していましたが、その縦のポジションチェンジを実行できる
イニエスタを欠いたことで、難しい展開になりました。

さらにケイタが負傷すると信頼に足る攻撃的MFがいないのか
メッシを中盤にさげてペドロをいれるという苦肉の策。確かにメッシは
一人、二人抜けるスキルはあるし、何度かチャンスも演出しました。
しかしグラウンドを3分割した真ん中のゾーンでドリブルを開始し
ボールを奪われると即、危険なカウンター攻撃を受け
実際、危険な場面もありました。そういう意味で
ギャンブル要素の高い試合運びといえました。
最後の一枚の交代枠を誰に使うかと思いきやブスケツに代えて
トゥレ・ヤヤ。確かにブスケツがしびれをきらして、低い位置から
ドリブルを始めるなど冷静さを欠いたプレーは見られましたが
正直意図がよくわかりませんでした。今にして思うとピケを前線に
上げるパワープレーへの布石だったのかもしれません。
ピケを前線にあげる最後の奇策が当たり、引き分けに持ち込む
ことができました。
虎の子の1点を守ることでせいいっぱいだったエストゥディアンテスに
逆転する力は残っておらず、結局、延長戦において逆転を許すことに
なりました。

最後にエストゥディアンテスというアルゼンチンのクラブ名について
直訳はスペイン語で「学生たち」という意味で、まぁ某少女マンガに
オマージュしつつ意訳すると「生徒諸君!」って感じでしょうか。
かなり変なチーム名なのでクラブのホームページをみてルーツを確認したら
ほぼ100年前につくられた大学生のサークルからきているそうです。
大学のサークルとしてつくった方々はまさか自分のクラブが
100年後に南米を制し、世界一を争うクラブになるとは思ってないだろうなと。
でも誰かがそういう夢を持たなければ、ここまでのクラブには
絶対にならなかったわけで、それってすごい夢のある話だなと。
リアルなフィールド・オブ・ドリームスですよね。