受精卵ができるためには、卵子と精子が受精することが必要で、卵子の質だけでなく、精子の質も大きく関与します。

 

従来からの遠心分離機を用いて行う精子選別法(密度勾配遠心/Swim-up法)

現在、一般的に体外受精や顕微授精に用いる精子は、遠心分離機を使用した密度勾配遠心法/Swim-up法で回収して用いています。しかし、これらの方法は遠心分離を行うため、精子に物理的なダメージを与えることやDNA 断片化の増加が懸念されています。

また、原精液の中には、死滅精子や精漿、白血球といった不純物も含まれていますが、それらが活性酸素の発生原因と考えられており、一緒に遠心分離を行うことで活性酸素が放出され、酸化ストレスのダメージによって精子DNAの損傷や運動率低下を引き起こしている可能性があります。

 

 

マイクロ流体技術を用いる精子選別法 (ZyMōt®︎ スパームセパレータ

このことの対策として、遠心分離することなく短時間に、良好運動精子を回収する方法として、マイクロ流体技術を用いた精子選別法(ZyMōt法®︎ スパームセパレータ)が考案されています。ZyMōt法®︎スパームセパレータは、遠心分離を使用せずに短時間で良好は運動精子のみを回収するデバイスです。

 

 

 

 

 

  1. 遠心分離せずに精子を回収できるため、精子DNAが物理的に損傷することを防ぐことができます。
  2. 工程数が少なく30分という短い時間で処理が完了するため、活性酸素の影響により生じる精子DNA断片化が進行する可能性が低減されます。
  3. 精子の前進性とDNA断片化率には関連があることが報告されていて、高い前進性をもつ精子を選択できる可能性が増す

 

これらのことから、マイクロ流体技術を用いた精子選別法(ZyMōt法®︎スパームセパレータ)を使用することで、より最適な精子を効率よく回収できることが期待されます。