【ご質問内容】

「流産について質問させていただきたいのですが、検査で胎児の染色体の異常が無くても、精子にDNA損傷があった場合、流産の原因の可能性のひとつになりますか?」

 

【当院からの回答

夫の精液の健康状態が妊娠と流産に関連する可能性があることが研究で示されています(Fertil Steril 2017; 108: 613)。受精卵は卵子と精子から形成されるため、男性の精液の状態が流産率に影響を与えることがあります。

 

特にDNA断片化指数(DFI)が30%以上の場合、流産率が有意に高くなることが報告されています。これにはエピジェネティクスが関与している可能性があり、精子のDNAメチル化やRNAの一部不足が影響を与えると考えられています(Fertil Steril 2023; 120: 715)。

 

精子のDNA損傷は、自然妊娠、人工授精(IUI)、および体外受精(ART)治療のすべてにおいて胚発生異常や流産と関連しています。精子DNA損傷は卵子内でのDNA修復機構により一部は正常化されることが知られていますが、その正確なメカニズムはまだ完全には解明されていません。

 

このような情報は、流産の原因を特定し、適切な治療法を検討する上で非常に重要です。ご質問や不安がある場合は、専門医にご相談いただくことをお勧めします。