エストラーナ🄬(卵胞ホルモン貼付薬)などを使用してホルモン補充療法で凍結胚移植(FET)を行う方も多くおられます。

 

この補充にあたって、卵胞ホルモン(代表的なものとしてエストラジオール)の効果的な血中濃度については明らかになっていませんでした。

 

最新の下記研究では、血清エストラジオール値が生理的範囲の300~500pg/mLに近いほうがFETの成功率が高くなることが示唆されています。

 

Vyas N, Fertil Steril 2023年 120巻 6号 1220〜1226

  • ホルモン補充周期凍結胚移植(FET)において、エストラジオール濃度が妊娠転帰に与える影響を調査しました。
  • 2016年から2019年にかけて米国の1施設で行われた後方視的コホート研究で、750例の女性が対象となりました。
  • 最高の血清エストラジオール値に基づき、300pg/mL未満(A群)、300~500pg/mL(B群)、500pg/mL超(C群)の3つのグループに分けられました。
  • B群の生産率は63.4%であり、C群の50.2%、A群の42.5%より有意に高かった。
  • 着床率もB群(75.3%)が最も高く、C群(70.0%)とA群(52.5%)は低かった。
  • 生化学的妊娠率はC群で高かったが、統計的な有意差は見られなかった。
  • 異所性妊娠率と流産率には群間で有意差はありませんでした。
  • これらの結果から、血清エストラジオール最高値が300~500pg/mLの範囲にある場合、FETの成功率が高くなることが示唆されました。