体外受精などの生殖補助医療において理想的とされる1回の採卵数は、8個から12個です。

 

これを目指し、排卵抑制しながら卵巣刺激ホルモンFSH/hMGを連日注射する治療方法が調節卵巣刺激法です。

 

低刺激法(クロミッド法やレトロゾール法などの内服薬を使用)は調節卵巣刺激法と比較し、卵胞発育数は少なく、また排卵抑制していないので採卵キャンセル率が高くなります。

 

調節卵巣刺激における排卵抑制方法として、PPOS法・アンタゴニスト法(GnRH antagonist法)・ロング法(GnRH agonist long法)・ショート法(GnRH agonist short法)が挙げられます。

 

最近では、排卵抑制方法として、PPOS法(黄体フィードバック法)やアンタゴニスト法が多用されています。

 

 

PPOS法とは?

 

  • PPOS法(Progestin-Primed Ovarian Stimulation)は、黄体ホルモン剤を用いて排卵を抑制する方法です。
  • この方法では、月経周期の初日から黄体ホルモン剤を服用し、卵巣刺激ホルモン(FSH)や黄体形成ホルモン(LH)を投与します。
  • 黄体ホルモン剤により自然なLHサージ(急激なホルモン増加)を抑制します。

 

【メリット:】

  • コスト: PPOS法は比較的安価な薬剤を使用するため、治療費が低く抑えられます。
  • 副作用の少なさ: ホルモンバランスが安定しやすく、副作用が少ない傾向があります。

 

【デメリット】

  • 時間の遅延: アンタゴニスト法と比較し、胚の発育時間がやや長くなる傾向があります。
  • キャンセル率: アンタゴニスト法と比較し、PPOS法の方がキャンセル率が高いとされています。

 

 

アンタゴニスト法とは?

 

  • アンタゴニスト法は、GnRHアンタゴニストという注射薬剤を使用して、排卵を抑制する方法です。
  • この方法では、卵巣刺激ホルモンの投与を開始し、卵胞がある程度の発育してからGnRHアンタゴニスト注射を開始します。
  • GNRHアンタゴニスト注射により自然なLHサージ(急激なホルモン増加)を抑制します。

 

【メリット】

  • 迅速な効果: GnRHアンタゴニストは速やかにLH分泌を抑制しますので、柔軟な治療スケジュールが可能です。
  • 広範な適応: 多くの方に対して適用可能であり、特に高齢患者や多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の患者に有効です。

 

【デメリット】

  • コスト: GnRHアンタゴニストは高価な薬剤であるため、治療費が高くなる可能性があります。
  • 副作用: 注射が必要で、注射部位の痛みやホルモン変動による副作用を生じることがあります。