顕微授精(ICSI)に使用する精子を「新鮮なもの」と「凍結保存されたもの」のどちらにするかは、カップルにとって重要な選択肢のひとつです。
最近の研究報告によると、新鮮射出精子を使用した方が凍結保存精子より優れた治療成績が得られることが示されています。
2024年5月に発表された研究(Gil Juliá, María et al.)
- 2008年から2022年までの間に行われた44,423件のドナーエッグを用いたICSI治療を分析しました。
- 新鮮射出精子と凍結射出精子のどちらを使用するかによる治療成績の違いを明らかにすることを目的としています。
- 凍結精子を使用した群は、新鮮精子を使用した群に比べて、初回の胚移植や総胚移植あたりの生児出生率が低下していました。
- 具体的には、新鮮精子使用群と比較して、生児出生率は初回胚移植あたり4.57%、胚移植あたり3.95%低い成績でした。
【新鮮射出精子の利点】
- 生児出生率の向上: 新鮮射出精子は、より高い生児出生率を達成する傾向にあります。
- 流産率の低減: 凍結精子を使用した場合の生化学的流産率が、新鮮精子使用群に比べてわずかに増加する傾向がありました。
【結論】
- 特別な事情がない限り、新鮮射出精子を使用することが推奨されます。
凍結保存した精子しか使用できない場合は精子凍結保存は有効な選択肢ですが、どちらでも可能という状況であれば、新鮮精子を利用した方が良いと考えられます。