過去30年間で帝王切開分娩が大幅に増加しています。

 

【帝王切開による長期合併症】

帝王切開による長期的な合併症として、帝王切開瘢痕部欠損が挙げられます。この瘢痕部欠損は、月経延長、慢性骨盤痛、異常な子宮出血、月経困難症などの原因となることがあります。また、続発性不妊の原因にもなりえます。

 

【最新のメタアナリシス報告】

これまで、帝王切開瘢痕部欠損がある女性とない女性の妊娠成績を比較するメタアナリシスは行われていませんでした。このたび2024年のFertil Steril誌(121: 299)で報告された最新のメタアナリシスでは、帝王切開瘢痕部欠損の影響が明らかにされました。

 

Fertil.Steril.(121: 299、2024)

研究結果は以下の通りです:

  • 臨床妊娠率: 帝王切開瘢痕部欠損のある女性の臨床妊娠率は、欠損のない女性に比べて低く、オッズ比は0.70(95%信頼区間: 0.61~0.81)でした。これは妊娠の可能性が30%低いことを示しています。
  • 流産率: 帝王切開瘢痕部欠損のある女性の流産率は、欠損のない女性に比べて高く、オッズ比は1.38(95%信頼区間: 1.09~1.76)で、流産のリスクが約38%高いことを示しています。
  • 着床率: 帝王切開瘢痕部欠損のある女性の着床率も低く、オッズ比は0.75(95%信頼区間: 0.58~0.97)で、着床の可能性が25%低いことを示しています。
 

 

  • 特に、子宮腔内に液体が貯留している場合、これらの影響はより顕著になります。したがって、帝王切開瘢痕部欠損だけでなく、子宮腔内液体貯留にも注意が必要です。

  • この研究は、帝王切開瘢痕部欠損がある女性の出産率、臨床妊娠率、着床率が低下し、流産率が増加することを示しています。帝王切開を受けることの長期的な影響を理解し、適切な医療サポートを受けることが重要です。

 

将来妊娠を計画している方や帝王切開を検討している方は、この情報を基に医師と相談し、適切な選択を行ってください。