■ご質問内容

ビタミンD不足は不妊治療成績に影響しますか?

 

■当院からの回答

ビタミンDは、女性の生殖に重要な役割を果たしています。卵胞の発育、排卵、月経周期、そして多嚢胞性卵巣症候群やAMH(抗ムラミダーゼホルモン)などにも関与しています。

 

研究によると、ビタミンDが不足すると、体外受精の妊娠率が低下し、習慣性流産のリスクが高まるとされています。また、新生児の体重や妊娠期間、妊娠高血圧症候群などの妊娠合併症や、新生児の発育障害のリスクも高くなる可能性があります。

 

ビタミンDが不足すると、体外受精を受けている女性の妊娠率や出産率が低下することが示されています。ある研究では、胚盤胞の単一移植周期において、ビタミンD濃度が20 ng/mL未満の女性では、妊娠率が有意に低下し、ビタミンD不足の場合に臨床妊娠率が0.61倍に低下することが報告されています。

 

また、提供卵子の移植を受けた女性でも、ビタミンDが不足すると臨床的妊娠率や生産率が低下することが分かっています。他の研究では、ビタミンD不足は着床障害にも関連することが示されています。

 

さらに、ビタミンD濃度と体外受精の成功率に関するメタアナリシスでは、ビタミンDが不十分あるいは不足の場合に比べて、ビタミンD濃度が十分な女性では臨床妊娠率が1.46倍、出産率が1.33倍と良好な成績が得られることが示されています。

 

最後に、ビタミンD不足は妊娠中の女性の18〜84%にみられ、妊娠合併症との関連も認められています。これらのことから、妊娠を希望する女性はビタミンDの摂取に注意し、必要に応じて医師と相談することが重要です。