調節卵巣刺激法(排卵抑制を考慮しながら卵巣刺激する方法)は進化を遂げており、GnRHアゴニスト法からアンタゴニスト法、そして最新のPPOS法(黄体フィードバック法)へと発展してきました。

  • GnRHアゴニスト法は、月経前(ロング法)や月経開始時(ショート法)からGnRHアゴニスト点鼻薬を用いる方法です

  • アンタゴニスト法は、卵胞が特定の大きさに達してからGnRHアンタゴニスト注射を開始するアプローチです

  • PPOS法は、月経開始時から黄体ホルモン製剤を使用する方法です

これらは、いずれも基本的には排卵を抑制するための方策であり、FSH/hMG注射で卵巣を刺激し、10数個の卵子獲得を目指すことになります

最新の研究で、PPOS法とアンタゴニスト法の効果を比較した報告についてご紹介します。

 

Hum Reprod 2024; 39: 1098

研究対象

2019年から2022年にかけて44名の女性(平均年齢39.6歳)を対象に行われました。この研究では、参加した女性全員が6か月以内にアンタゴニスト法とPPOS法を1回ずつ受けました。研究の目的は、これらの方法によるPGT-A(胚染色体スクリーニング)の成績を比較することでした。

 

研究結果

この結果として、アンタゴニスト法とPPOS法のPGT-Aにおける正常胚率に有意な差は認められませんでした。つまり、どちらの方法も同等の効果があることが確認されました。

 

治療の選択

アンタゴニスト法とPPOS法の成績が同等であることが確認されたため、患者さんや医療提供者はコストや患者の快適性などを基に治療法を選択できます。特に、PPOS法は低コストであるため、多くの患者にとって魅力的な選択肢になるかもしれません。

 

今後の課題

この研究にはいくつかの限界があります。例えば、治療の順番が「アンタゴニスト法→PPOS法」と固定されていたこと、またランダム化されていなかったことなどです。今後の研究では、これらの治療法を交互に実施するクロスオーバー試験「アンタゴニスト法⇄PPOS法」を行うことで、さらに詳細なデータを得ることが期待されます。

 

結論

この研究は、卵巣刺激法の選択において重要な情報を提供しています。どの治療法が自身に適しているかについては、医療提供者と十分に話し合うことをお勧めします。最適な治療法を選ぶために、この情報を役立ててください。