■ご質問内容
現在保険で治療中です。
移植4回を終え、うち2回で陽性が出るもどちらも流産に終わり、このまま保険の治療で出産できなければ将来的にPGT-Aでの採卵も考えています。
ただ初回の採卵で凍結胚が10個以上できたこともあり、移植回数で言えば残り8回分の胚が残っています。
このような場合、保険で採卵した凍結胚を使い切るまでは自費であっても新たに採卵(加えてPGTA)を行うことはできないでしょうか?
■当院からの回答
ご質問ありがとうございます。保険移植可能な回数は残り2回です
- その後の移植はすべて自費で行うことになります。8個の凍結胚のうち2回の融解移植を行い残った受精卵については、融解&PGT-Aを行うことが可能です。
- 保険凍結胚が残った状態で、新たに自費で採卵&PGT-Aを行うことも可能ですが、自費で採卵した受精卵は自費で移植、出産後も自費凍結胚については、移植回数のリセットがされないため、二人目希望時に使用する場合にも自費で移植することになります。
当院では、下記の厚生労働省資料に基づいて対応させていただいています
令和5年1月12 日:地方厚生( 支) 局医療課、厚生労働省保険局医療課
【保険外の診療の取扱い】疑義解釈資料の送付について(その37)
問10
保険診療により作成した凍結胚が残っている場合であっても、医学的判
断(反復流産既往の適応)により保険外の診療として、受精卵・胚に対する保険外の診療を実施する必要がある場合について、 保険診療により作成した凍結胚を用いずに、保険外の診療として改めて採卵から胚移植までの診療を行うことは可能である。
問11
問10 において、保険診療で得られた残余凍結胚は、その後保険診療を再
開したときに保険診療として使用してよい。
問12
保険外の診療で不妊治療を行う際に、治療の経過によってやむを得ず、年
齢制限や回数制限を超えた時点で凍結胚が残っている場合は、当該凍結胚
を廃棄せず、以降の保険外の診療に使用することは差し支えない。
着床前胚染色体異数性検査PGT-A(Preimplantation genetic testing for aneuploidy)
- 体外受精/顕微授精によって得られた胚の染色体数を移植する前に調べる検査です
- 採卵できても、移植可能な胚盤胞に発育しなければ検査できません
- 胚盤胞の外周にある将来胎盤になるTE細胞の4-5個を目標に採取して調べます
- 「細胞採取が胚に全く影響を及ぼさない」という保証はありません
- 採取した細胞以外の胚盤胞は凍結保存しておき、検査結果が出てから移植できるか相談することになります
- 検査しても判定不能な場合もあります
- PGT-Aの結果で正常胚(染色体に異数性がない)と判定された胚盤胞を移植しても、妊娠率は70%程度で必ず妊娠できるとは言えません
- 細胞によって異なる結果のモザイク胚では、移植するかどうか十分に検討しなければなりません
- 検査結果によっては「胚移植できる胚がない」といったこともあります
- 「妊娠出産の期待率を高める」とは言えず、「妊娠成立しない、流産してしまう胚移植を行わない」ということが検査目標になります
- 結果に関わらず、胚ごとに検査費用が発生します
- 先進医療Bとされており、PGT-A臨床研究を行う主担当施設でしか、保険診療と併用できる先進医療(自費診療)としての実施が認められていません
- 当院でもPGT-Aを行っていますが、臨床研究主担当施設ではないので、保険診療との併用はできず、採卵費用など全てを自費診療としてしか行えません