排卵から約2週間(胚盤胞移植から10日後くらい、妊娠4週)に絨毛性・性腺刺激ホルモンhCGの増加(当院では50miu/mL以上)で着床診断します。着床を確認していても、その後にhCG値が増加せず、超音波検査での胎のう(羊水が溜まった袋)も見えないままで流産(化学的妊娠流産)することがあります(通常月経と同じくらい、または多めの月経量)。

 

着床判定から約1週間後(妊娠5週)には、超音波検査で胎のう確認できるようになり、胎のう確認をもって妊娠診断します。

 

胎嚢を確認していても残念ながら、その後に流産することもありますが、胎のう確認から約1週間後(妊娠6週)には、超音波検査で胎児心拍(妊娠8週までは胎芽と呼ぶ)が確認できるようになります。

 

胎児が元気な状態、または元気かどうか分からない状態で子宮出血などがある状態を切迫流産と言います。妊娠経過は超音波検査で確認することになりますが、保険診療の対象は妊娠5週以降で、外来診療では週1回までに制限されています。超音波検査は、直接治療には結びつくものではなく、妊娠経過を確認するものになります。

 

切迫流産に対しては、基本的には安静で経過確認するしかありません。

 

当院には入院病床がありますので流産兆候を認める場合、希望あれば入院安静をすすめています。ただし、胎児側に原因がある流産を防げるものではありませんので「入院治療すればなんとかなる」といったものには残念ながらなりません。

 

これらのことから妊娠中に出血があってご相談があるとき、基本的に「入院加療を希望されるときは入院の準備をしてお越しください」というご返事になります。「入院はできないときは、かえって動かないほうがよいので自宅安静で様子を見てください」ということになります。

 

もちろん出血が多量の場合(進行流産の可能性)や、胎のう未確認で強い腹痛がある場合(異所性妊娠:子宮外妊娠の可能性)などでは緊急に受診していただく必要があります。

 

 

【妊娠初期に膣出血を認める場合】

  • 内服薬や膣剤は、指示通り使用してください
  • 切迫流産の診断で既に入院説明している方で、入院希望がある場合は、診療救急電話(当院の診療案内書に記載)に連絡してください。入院希望はない場合は、安静にして指示日に受診してください。
  • 入院説明が未だの方で、多量の膣出血が止まらない場合、血液のかたまりが出る場合、体調不良などの緊急症状がある場合は、入院準備し診療救急電話(当院の診療案内書に記載)に連絡してください。入院できない場合は、診察予約をとって受診、または指示日に受診してください(電話対応はできません)
  • 自宅安静は、外出、家事、仕事を控えてお過ごしください
  • 入浴と性交は控えてください(シャワーのみ短時間)
  • 診断書が必要な場合は、事前に診察医にお申し出ください