■ご質問内容
スプリット法と体外受精(通常媒精)で必要な精液検査所見の基準値が同じなのは何故ですか?
素人目に考えると、スプリット法は通常法のために使用する精子が半分であるため精液検査所見の基準値も下がると思っていました。
この点について疑問が残っており、今後不妊治療を進める上で納得の行く状態で進めたいと考えています。お手数ですが、ご回答いただけると幸いです。
■当院からの回答
- 体外受精(通常媒精=通常法)1つの卵子に数万の運動良好精子を媒精
- 顕微授精(顕微法)1つの卵子細胞質に1つの運動良好精子を注入
- スプリットsplit 媒精 通常法と顕微授精の両方実施
体外受精(通常媒精)が可能な精液所見の基準は、過去のデータに基づいて50%以上受精している精液所見から算出しています。実際、判断基準には幅(上限ー下限)がありますので、「体外受精では難しいと思われる方でも受精する」こともありますし、体外受精で足りると判断していても受精不良となる」場合もありえます。
体外受精(通常媒精)で精子が足りと判断していても受精卵が得られないことがあります(通常法での受精障害:5-7%)。この受精障害の予防策として、初回採卵で、採卵できた卵子が12個以上あるときに、『通常法』と『顕微法』の両方を行うスプリット媒精の選択肢を説明していますが、顕微授精に伴う卵子へのストレスは完全には否定できません。
スプリットは、体外受精(通常媒精)で足りると判断される方に対して、受精障害リスクを避ける意味合いで提案するものであり、体外受精(通常媒精)では足りないことが想定される精液所見の方に、「確率は低いけれど受精することもあるからスプリットをしてみますか?」というおすすめはしにくいということです。