• 体外受精や顕微授精などの生殖補助医療ARTの治療成績が気になります。
  • 精子の質も成績に大きく影響するため、精子の質を保つことも重要です。

 

Fertil Steril 2024; 121: 426

ART治療には質の高い精子が必要であり、可能な限り禁欲期間を短くすべきであるとしてます。

 

  • 最近の研究によると、ART治療において精子の質を最大限に高めるためには、禁欲期間をできるだけ短く保つことが推奨されています。
  • 通常、世界保健機構WHOでは精液検査の際の禁欲期間を2〜7日としていますが、この期間は単に他の男性との比較のための基準であり、直接的に妊娠能力を反映しているわけではありません。
  • 具体的な研究からは、禁欲期間が短い場合、つまり1日未満の禁欲での精子提供が、着床率と出生率の向上につながることが示されています(オッズ比1.44と1.69)。
  • これは、短い禁欲期間の方がより新鮮な精子が利用可能であり、精子のDNA損傷のリスクが低減するためです。
  • 治療を受ける皆さまの中には、頻繁な射精によって精子が枯渇するのではないかと心配する方もいますが、精子は精巣上体を通過するのに6〜10日かかり、一日に複数回の射精をしても精子が尽きることはありません。
  • 実際、頻繁な射精は利用可能な精子の中でより新鮮なものを提供し、その結果、治療の成功率が向上する可能性があります。

 

治療を進める上で、治療別に、個々の状況に最も適した方法を選択することが大切です。望妊治療(不妊治療)は個々のカップルに合わせたアプローチが求められる分野であり、最新の科学的知見を活用することが大切です。