体外受精や人工授精などの不妊治療が保険診療で行えるようになっています。保険診療の費用は診療報酬で決められおり、どこの医療機関でも同じですが、治療成績も同じなのでしょうか?

 

治療によってどれくらい妊娠期待率があるか、各医療機関の治療成績を確認してみましょう。不妊治療を行う医療機関は、自院の成績を常にチェックし公開することが必要です。妊娠率だけでなく、実際に生まれたことを確認する生産率も確認しましょう。

 

受診されるカップルの状況(女性年齢や合併症など)によって妊娠成績は異なりますので、一概に施設間の比較は困難ですが、生殖補助医療(体外受精・顕微授精・胚移植)の全国集計結果(日本産科婦人科学会2021年ARTデータブック)も公開されていますので、このデータも参照しながら受診する(受診されている)医療機関の治療成績を確認してみてください。治療成績は医療機関によって大きく異なっています。

 

治療成績には、「施設設備」、「使用する機器」、「使用する器材(培養液・カテーテル・シャーレなど)」も影響するので、これらの継続的な品質管理が必要です。また、なにより医師だけでなく職員の力量(力量確認と技術/知識の向上)が重要です。

 

また、良好な成績を得るためには、個々のカップルの状況に合わせた治療方針の選択が必要であり、その治療方針を確実に行うためには「卵子の成熟に合わせて治療する」ことが重要です。このため当院では職員のモチベーションを結集し土曜・日曜・祝日にも診療しています。

 

不妊治療の保険診療について、タイミング法や人工授精は女性年齢に制限は設けられていませんが、体外受精などの生殖補助医療は、女性年齢で総胚移植回数に制限(1子につき40歳未満6回まで、40-42歳3回まで)がありますのでご注意ください。当院では保険適用外での体外受精なども行っておりますが、「女性50歳を越えての胚移植はしない」とさせていただいております。

 

人工授精や生殖補助医療の費用は女性に請求されることになっており、高額療養費制度の対象になります。限度額適用認定証(保険証の保険組合等で発行)をお持ちになれば、月単位の保険診療費が限度額までの支払いになります。また、保険適用外の自費診療についても自治体によっては助成制度がありますので、お住まいの自治体情報を確認してください。また医療費控除(家計を一にする人の全ての医療費が対象)の対象になりますので、領収書は大切に保管しておきましょう!