患者さまからよくお聞きするご質問に、「季節によって妊娠しやすい時期、そうでない時期がありますか?」というものがあります。これについて、お話します。

 

自然な妊娠において、「気温や日照時間が影響を与える可能性がある」という研究結果もありますが、「体外受精(生殖補助医療)の成績に季節が影響するかどうか」については、はっきりした結論が出ていません。最近の研究では、「体外受精を行う際の季節、気温、また日照時間と体外受精の成績(着床、妊娠、流産、出産)との間に、明確な関連が見られなかった」と報告されています。

 

具体的には、2012年から2017年までの間に行われた体外受精のデータを用いて、季節別に分析した研究があります。この研究によると、冬に体外受精を開始した場合と他の季節に開始した場合の間で、出産率に顕著な差は見られませんでした。また、気温が高かったり、日照時間が長かったりするといった気象条件も出産の結果には影響していないことがわかっています。

 

このことから、体外受精や胚移植の成績に季節が大きく影響するとは考えにくいとされています。したがって、体外受精を検討される場合は、カップルのライフスタイルや都合に合わせて治療を進めることが推奨されます。季節を気にする必要は基本的にはありませんので、安心して治療の計画を立てていただければと思います。

 

参考までに当院の季節別妊娠率を挙げておきます。