無精子症とは射出精液中に精子がいない状態で、男性およそ100人に1人程度、不妊治療を行う生殖医療機関を訪れる夫婦の5〜10%に認められ、意外に多い疾患です。

  • 閉塞性無精子症(OA)精管など途中で精子が通過できない場所があり、射出精液に精子がみつからない状態で、精巣で精子を造られていると思われます。無精子症の約2割を占めています。simple TESE(精巣内精子採取術)で精子回収できる可能性が高いです。
  • 非閉塞性無精子症(NOA)精巣で精子が造られておらず、射出精液に精子がみつからない状態で、無精子症の約8割を占めています。microTESE(顕微鏡下精巣内精子採取術)で精子獲得を目指しますが、手術適応がない場合や手術しても採取できないこともあります。

 

OAかNOAの診断のために下記の検査をします。

  • ホルモン検査( FSH / LH / テストステロン)
  • 染色体検査
  • Y染色体微小欠失検査(AZF検査)
  • 泌尿器科専門医による診察(精巣、精巣上体、精管、精索静脈瘤/精巣腫瘍の有無など)

 当院での精巣内精子採取術

  • 当院では泌尿器科(生殖医療)専門医が局所麻酔下に行っています。
  • 医師が採取した精巣組織を直ぐに胚培養士に渡し、「精子が採取できているか」確認しながら手術を進めます。
  • 一番精子がいそうな精細管を顕微鏡で探して採取しますが、片側精巣で十分な精子が採取できないときは両側精巣の手術をします。
  • 全体で10箇所程度までが目標になりますが、精子採取の確認ができないほど長くなり、最長90分程度になる場合もあります。
 
OAでは、対象にしたsimple TESEで当院では全例で精子採取できています。
 
NOAでは、検査結果から手術対象にならなかった方もおられましたが、初回microTESE(顕微鏡下精巣内精子採取術)を行った142症例の方の患者背景および手術結果です(2023年11月、第6回 日本生殖医学会で報告)。