子宮筋腫は小さなものも含めると、30歳以上の女性の20-30%に認められる良性腫瘍です。

 

子宮筋腫は、子宮内の受精卵の着床を妨げる可能性がありますので、とくに妊娠を希望されている場合は注意が必要です。

 

 

 

子宮筋腫は、できている場所によって3つのタイプに大別されます。なかでも問題になるのは子宮内腔に突出するタイプの粘膜下筋腫です。また研究によれば、直径2.0cm以上の筋腫がある場合には、妊娠率や着床率、出産率が有意に低下することが報告されています。

 

このため、これらに該当する子宮筋腫がある場合は、体外受精を考える上でも子宮筋腫の存在は大きな懸念事項となります。

 

子宮筋腫を除去するには子宮筋腫核出術が必要になりますが、手術を決めるにあたっては、手術までの期間、手術後の回復期間/避妊期間(3~6ヶ月)を考慮しなければなりません。加えて、子宮筋腫が多発している場合や大きい場合は、手術後に筋腫が再発するリスクも考慮しておかなけばなりません。

 

挙児希望がある方で子宮筋腫の手術を検討するときには、子宮筋腫の数/大きさ/位置だけでなく、体外受精の成績に大きく影響する女性年齢や卵巣予備能力(卵巣年齢)を考慮する必要があります。

 

35歳未満でAMH値が年齢相応であれば、手術を選択し、その後の妊娠を目指すことも考えられます。一方で、35歳以上やAMH値が低い場合には、先に体外受精を行って受精卵(胚)を凍結保存し、その後に手術回復期間を待って、すぐに融解胚移植することも考えられます。ただし、子宮筋腫の位置や大きさによっては採卵が困難な場合もあり、こうした場合は先に手術を考えなければならないこともあります。

 

妊娠希望があるときの子宮筋腫の手術適用やタイミングは、個々の状況に応じて治療計画を立てる必要がありますので、体外受精を行っている医療機関にも受診されることをおすすめします。