【無精子症について】

  • 無精子症とは、射出精液中に精子がいない状態で、男性およそ100人に1人程度の頻度と考えられます
  • 閉塞性無精子症(OA) :精路に原因がある場合で、無精子症の約 15%を占めます。精巣精子採取術を行えば精子の採取は可能と考えられます。
  • 閉塞性無精子症(NOA):精巣に原因がある場合で、無精子症の約 85%を占めます。非閉塞性無精子症(NOA)には2つのタイプがあります。
  1. 精巣内で精子が全く造られていないタイプ
  2. 精巣内でほんのわずか精子が造られているが、出てくるほどではないタイプ
  • 2の場合、精巣精子を採取することができれば、精巣精子を用いた顕微授精により挙児を得られる可能性があります。
  • 術前に1または2を判断することは困難で、実際に手術をしてみないとわからないのが現状ですが、1の場合には術前AZF採血で精子回収不可能と判断することがあります。

 

OAとNOAの見分けと手術適用

 

1.ホルモン検査

  • 卵胞刺激ホルモンFSH :脳下垂体から分泌されているホルモンで、男性では精巣に働きかけて造精機能(精子産生)を促します。
  • 黄体形成ホルモンLH :脳下垂体から分泌されているホルモンで、男性では精巣に働きかけて男性ホルモンの産生を促します。
  • テストステロン:代表的な男性ホルモンで精巣で造られているホルモンです。

2.染色体検査

  • 染色体Gバンド検査:染色体を調べる検査で、性染色体の基本は男性XY、女性XXです。

3.Y染色体微小欠失AZF検査

  • 本検査では、患者さまの血液中に含まれるDNAを用いて、精子形成に重要な働きを持つといわれているY染色体上のAZF領域の欠失の有無やその部位を分析します。
  • 本検査によるAZF領域の欠失の有無およびその部位の特定は、無精子症の方の精巣から精子が採取できるかどうかの判断材料になりうると考えられています。

 

4.男性外来(泌尿器科専門医)診察

  • 精巣精子採取術を希望される場合、当院では泌尿器科医による男性外来を受診していただく必要があります。
  • 泌尿器科診察では、精巣容量、精管の診察、精索静脈瘤・精巣腫瘍の有無を確認します。
  • 1、2、3の結果も踏まえ、泌尿器科医が、治療方針/手術方法(Simple TESEまたはMicro TESE)を相談決定します。