■ご質問内容

凍結していた胚盤胞の移植を予定しています。D12の内膜は8.5mmでしたが、移植日はそこから8日後(D20)に決まりました。エストラーナテープを引き続き使用しますが、移植日に内膜が薄くなってしまうことはないのでしょうか?
また 内膜が薄くなった場合には着床にも影響するのでしょうか。

 

■当院からの回答

結論からお話すると、黄体ホルモン投与後子宮内膜の変化は、妊娠・出産に影響しないと考えられます。

 

また、当院ではホルモン補充周期(HRT周期)融解移植では、卵胞ホルモン剤を使用しながら、D9-13日目に子宮内膜を測定し、胚移植日は経腹超音波検査で胚移植を案内しますが、経腟超音波による子宮内膜厚みの再検査は行っていません。

 

HRT周期のプロゲステロンによる子宮内膜厚み変化は妊娠には影響しないことを示した論文をご紹介します。

Fertility and sterility vol. 116,6 (2021): 1502-1512. 

PGT-Aを行い、初回の正常胚をホルモン補充周期で移植する方508名を対象に、黄体ホルモン投与開始日と移植日の子宮内膜の厚さを測定し、その変化と妊娠率・出産率の関係を後方視的に検討しました。ただし、子宮内膜<7.0mmの方は除外しました。

結果は、黄体ホルモン投与後の内膜の厚さの変化は、増加しても減少しても、妊娠率や出産率とは無関係でした。各種交絡因子で補正後も有意差を認めませんでした。

 

黄体ホルモン投与後の内膜の厚みの変化は、妊娠率や出産率とは無関係であることが示されています。