女性の卵子は胎生期に約700万個造られますが、誕生時には約200万個、思春期には約20~30万個と新しく造られることはなく次第に減少します。

 

卵子は、卵巣内の原始卵胞に、第1減数分裂の途中で発育休止(休眠状態)した状態にあるのですが、排卵直前に分裂を再開し、第2減数分裂を完了して受精卵になるという過程であり、この分裂がうまく起こらなくなる質的低下も加齢と伴に起こりやすくなり、妊娠の期待率が下がり流産の可能性が高まります。

 

望妊治療(不妊治療)で一番妊娠の期待率が高いのが体外受精などの生殖補助医療なのですが、上記のことから女性加齢で治療成績は不良となっています。

 

日本産科婦人科学会の全国集計データ

https://www.jsog.or.jp/activity/art/2019data_202107.pdf

 

当院データ

https://www.futari.or.jp/result/in-vitro-fertilization-results/

 

こうした現状から体外受精などの生殖補助医療の保険適用は43歳未満とされています。

 

もちろん、このようなデータは「これまでの実施データ」であり、個々の方に必ずしもあてはまるものではありません。

 

このような状況のなかで、「医学的適用(がん治療や手術で妊孕性が低下する)」での未受精卵子の凍結保存を「社会的適応(ノンメディカル)」の方にも広げようとする考えもでてきています。東京都では助成事業も開始されています。

 

子供を産み育てたいと望んでいるものの、様々な事情によりすぐには難しい方にとって、卵子凍結は将来の妊娠に備える選択肢の一つです。
この度、都では新たに、「卵子凍結に係る費用」及び「凍結卵子を使用した生殖補助医療」への助成を開始し、子供を望む方への支援の充実を図ります。

 

日本産科婦人科学会から「ノンメディカルな卵子凍結」について、お知らせ(動画資料もあり)がありますので、お考えの方はご確認ください。

 

 

 

 

岡山二人クリニックでも「医学的適応の卵子凍結保存」だけでなく「ノンメディカルの卵子凍結保存」も行っていますが、さまざまな条件があり、また「必ず凍結保存できる」といったものではありません。

 

 

また、凍結保存した卵子を融解利用する場合は顕微授精が必要になり、受精卵ができるか、胚移植できる受精卵ができるか、胚移植しても妊娠できるか、実施してみなければ分かりません。また、妊娠された場合も女性加齢により、妊娠高血圧症候群などの妊娠合併症や分娩時リスクは高まることも考えておかなければなりません。このため凍結保存した卵子の利用は女性43歳までとさせていただいております。

 

このようなことを踏まえて上で、ご希望がある場合は岡山二人クリニック望妊治療センターの受診予約をしてください。

 

 

当院の木森木林(ペンネーム)が、無料投稿サイトの小説「人工子宮」で卵子凍結保存などについて書いています。人工子宮は架空ですが、卵子や精子の凍結、人工授精や体外受精などについては、現在の生殖医療をベースに書いております。