【ご質問内容】
Q1.
不妊治療中のカフェイン摂取は、控えなくてもいいのでしょうか? 治療を始めてから、コーヒーを控えているのですが、気にせず飲んでいいものなのでしょうか?
Q2.
いろいろ気になりネット情報をみると飲んではいけないと記載があったのですが、採卵予定の周期にはコーヒーを飲んではいけませんか?
Q3.
コーヒー大好き 1日マグカップ3杯は飲みます。融解胚移植に向けてこのまま続けても大丈夫でしょうか?
【当院からの回答】
カフェイン
- アルカロイドという化合物の仲間です。
- 覚せい作用や解熱鎮痛作用があり、眠気、倦怠感、頭痛に対する効果がある医薬品としても使用されています。
- 市販の感冒薬などにも含まれているものがあります。
- コーヒー、緑茶、紅茶、ウーロン茶、ココア、コーラ、チョコレート、栄養ドリンクなどにも含まれているものがあります(基本的には含有量が記載されているはずです)
飲料100ml 当たりに含まれるカフェイン量の目安
飲料
カフェイン量(100ml 当たり)
コーヒー
60mg
玉露
160mg
煎茶
20mg
紅茶
30mg
ウーロン茶
20mg
文部科学省【五訂日本食品標準成分表】のデータを基に作成
アメリカ生殖医学会(ASRM)は次のコメントを発表しています。
ASRM Practice Committee. Optimizing natural fertility. Fertil Steril 2008.
- 妊娠前も妊娠中も明らかな問題はないであれば、カフェイン摂取1日100~200mg
- 妊娠を希望している場合、1日500mg以上の多量摂取では、不妊の確率が1.45倍になります
- 妊娠中のカフェイン摂取が1日200~300mgの場合には、奇形率は増加しませんが流産率が増加することが知られています
一方で下記報告もあります。
BMJ 2007;334:409.
一方で、1207名の妊娠中の女性を2群に分け、カフェイン300mg以上群と0mgの群で比較したところ、胎児の発育に違いは認められなかった。
Fertil Steril 2019; 112: 120
デンマークの国家レベルのデータをもとに、コーヒー摂取と妊娠の関係について、前方視的検討を行った解析結果から、生殖補助医療(体外受精+顕微授精+凍結胚移植)では、コーヒー摂取は妊娠成績に影響しませんでした。
人工授精では、非摂取群と比べコーヒー摂取群(1〜5杯/日)で臨床妊娠率が1.49倍、出産率が1.53倍に有意に高く、人工授精ではコーヒー摂取が妊娠にプラスに働く可能性を示唆しています。
色々な報告があり一概には言えないですが、あまり偏った食べ物や嗜好品の摂取は避けたほうがよく、適度に、バランスよく、が基本ですね。