着床前染色体異数性検査PGT-Aの結果がモザイクであった場合の胚移植の予後に関する系統的な大規模解析を実施した論文をご紹介します。

 

Viotti M et al.. Chromosomal, gestational, and neonatal outcomes of embryos classified as a mosaic by preimplantation genetic testing for aneuploidy.

.Fertil Steril 2023; 120: 957

世界9ヶ所の不妊クリニックでPGT実施後のモザイク(モザイク率20~80%)胚移植を行い妊娠が成立した914名を対象に妊娠予後を調査した妊娠成績は下記の通りでした。

 

 

  • 正常胚の着床率は59.1%で、流産率は8.9%でした。
  • 全てのモザイク胚の着床率は45.0%で、流産率は22.2%でした。
  • 部分モザイク胚を除いた場合、着床率は39.0%で、流産率は27.6%でした。
  • モザイク胚移植で出産した488名のうち、1人(0.2%)に重篤な異常(心血管奇形)が認められました。
  • モザイク胚移植した妊娠中に出生前診断(絨毛検査、NIPT、羊水検査)を実施した250名(365検査)のうち、236名(347検査)は正常核型を示しました。
  • 出生前診断で異常が認められた14名(5.6%)では、9名が出産、流産2件、中絶3件に至りました。
  • PGT検査結果と出生前診断結果が一致したのは3件(1.2%)でした。

 

モザイク胚は正常胚よりも流産率が高いが、モザイク胚から生まれたお子さんは正常胚の場合と同等であることが示されています。 

 

また多くの場合、モザイク現象は妊娠中に解消されますが、一部でモザイク現象が妊娠中も持続することがあることが示されています。