■ご質問内容

いつもお世話になっています。
死産し不育症検査を他院で行い、胚移植を予定しています。
他院でバファリンの処方があり、先日二人クリニックを受診し、胚移植の日にちを決めた際にバファリンの内服は胚移植の5日前から内服と言われました。
以前受診した際はバファリンの内服は移植当日か翌日からと言われたと思っていましたが、早い内服は何か理由があるのでしょうか?
調べると早い内服はあまり良くないというのもありました。

 

■当院からの回答 

アスピリン療法は、ヘパリンとともに不育症治療の一環として行われています。アスピリンは、抗リン脂質抗体症候群やプロテインS欠乏症、第XII因子欠乏症などの凝固異常症に対して使用されます。

 

不育症管理に関する提言2021でも、アスピリンの妊娠前からの投与が推奨されています。ESHRE Early Pregnancy Guideline Development Group(2017)も、妊娠前からアスピリンの投与を勧めています。

 

アスピリンの添付文書では、分娩前12週間の投与は避けるようにされていますが、欧米では妊娠後期にも継続的に使用することが一般的です。日本の産婦人科診療ガイドラインでは、妊娠28週以降は、血栓の有無、検査値、既往の産科異常、重症度、発症時期、施設の状況などを考慮して、妊娠36週までアスピリンの投与を検討することが推奨されており、必要性がある場合は患者の同意を得て継続し、妊娠36週前後で投与を終了することが目安とされています。

 

一般治療(タイミング、人工授精)や生殖補助医療(分割胚移植、胚盤胞移植)のいずれにおいても、受精卵は排卵後5〜8日目に着床すると考えられています。着床期には抗凝固効果が必要です。アスピリンの効果が現れるまでには数日かかるため、一般的には排卵日以降からアスピリンを服用することが一般的です。したがって、胚移植の場合は、黄体ホルモンの開始日と同じ日にアスピリンの服用を開始します。

 

当院では岡山大学病院産婦人科と連携して不育診療を行っており、治療法についても情報を共有しています。