■ご質問内容
インターネットで母親の出産時の年齢が上がるにつれて、ダウン症等の染色体異常の子が生まれる確率が上がるとの情報を拝見いたしました。

 

融解胚移植の場合、例えば30歳で採卵し、凍結した胚盤胞を35歳で移植するとすれば、染色体異常の子が生まれる確率は35歳時点のものとなるのでしょうか?それとも、胚盤胞自体は30歳時点のものなので、確率は30歳時点のものとなるのでしょうか?


2人目、3人目を希望する場合、染色体異常となる確率を下げるためには、年子となっても出来るだけ早く胚移植を進めた方がいいのかと思い、質問させていただきました。

 

■当院からの回答

染色体異常の割合が関連するのは移植するときの女性年齢ではなく、採卵時(凍結時)年齢です。

 

女性の年齢に応じて、胚盤胞の染色体異常の割合は異なります。染色体異常には構造異常と数的異常があり、女性年齢により増加する異常は、染色体の数の異常ですが、生まれてくる可能性ある染色体異常は、21トリソミー(ダウン症)、18トリソミー、13トリソミーです。

 

受精卵の時点での染色体異常は、30歳で25-30%、35歳では35%前後ですが、染色体異常の受精卵は着床しないか、流産により自然淘汰されるため、出産に至る時点では染色体異常の頻度は下図のように低くなります。

 

 

卵子の質は年齢に反比例します。

20歳で排卵する卵子は、卵巣で20年眠っていた卵子であり、40歳で排卵する卵子は、卵巣で40年眠っていた卵子になります。

 

眠っている間に、卵子はダメージを受けます。つまり、20歳の卵子は20年のダメージを、40歳の卵子は40年のダメージを受けたものになります(上のスライド参照)。これが「いわゆる卵子の老化現象」で、老化現象は、妊娠率低下、奇形率増加、流産率増加につながります。