■ご質問内容

抗ミュラー管ホルモンAMHが低いと自然に妊娠しにくいですか?

 

■当院からの回答

抗ミュラー管ホルモンAMHは、原始卵胞(第一減数分裂の中期で発育を停止した卵がある)が目覚め6ヵ月かけて、月経期の胞状卵胞に発育していく過程の卵胞が造るホルモンです。

 

目覚めて発育を開始する原始卵胞が少なくなると、AMHの産生量が減ることになり、女性加齢とともにAMH値が低下しています。

 

AMHと女性年齢(当院も加盟している日本生殖補助医療標準化機関JISARTデータ)

 

現在、AMHは卵巣予備能の指標であり、採卵数との関連についても多数の報告があります。当院で採卵を行った方のAMH値と平均採卵数の関係を、女性年齢で40歳未満と40歳以上に分けて示します。

 

年齢に関わらずAMH 値が低値を示す方もおられますが、AMH値の低下とともに採卵で得られた卵子数は減少していました。

 

このようにAMH 値は、卵巣予備能を示していますが、米国生殖医学会ASRMの公式見解でも「卵子の質、妊娠率、出産率を反映するものではない」ことが示されています。卵巣予備能評価は自然妊娠を予測することはできず、原因不明不妊の妊孕性予測には役立たず、また人工授精による妊娠を予測することもできません。AMHの低下があっても、卵子の質、妊娠率、出産率との関連は極めて小さいと考えられています。

 

したがって、AMHが低いからといって自然妊娠できないわけではありませんが、採卵を考えるとき得られる卵子数が多く望めないことを考慮しておく必要があります。

 

挙児希望がある際には、AMH 値をチェックしておき、低値であった場合は早めに生殖医療専門医にご相談いただければと思います。