【医事部より】

◇◆◇男性外来を受診されて手術適用の精索静脈瘤がみつかり、精索静脈瘤手術を希望されている方へ◇◆◇

 

まず、川崎医科大学附属病院または川崎医科大学総合医療センターの泌尿器科の受診予約をお取りください。予約される際は、「岡山二人クリニックからの紹介状持参」とお伝えください。

 

予約がとれてから、当院へ紹介状の依頼をしてください。なお、紹介状のお渡しには1週間~10日程お時間をいただきますので、その期間の余裕をもって予約をおとりください。

 

【医師部より】

★ 精索静脈瘤手術を受けるかどうかを選択する場合、下記が判断材料になります。

  1. 現在の精液所見
  2. 女性の卵巣機能や年齢
  3. 精索静脈瘤手術後ステップアップせずの待機期間(精液所見の回復見込み期間:約3ヶ月)
  4. 精子DNAダメージの程度

 

顕微鏡下精索静脈瘤手術は、侵襲が少ない手術ですが、上記の判断材料を総合的に考えて、手術するかどうか?、手術するとしたらいつするか?決める必要があります。

 

生殖補助医療(体外受精/顕微授精)採卵の前に、精索静脈瘤手術をしたほうが良いか?を示した2021年の総説をご紹介します。

 

 Research and reports in urology vol. 12 149-156. 28 Apr. 2020, doi:10.2147/RRU.S198934、Kohn, Jaden R et al. “Varicocele Repair Prior to Assisted Reproductive Technology: Patient Selection and Special Considerations.”

 

4つの研究が報告されています。成績の向上を示唆する論文が3本、効果がないという論文が1本です。


■効果あり報告
2010年にEstevesらが、242人の不妊男性(80名:手術、162名:手術なし)の体外受精の結果をレトロスペクティブに比較しました。体外受精での臨床的妊娠率は、手術群では60%、非手術群では45.0%でした。同様に、出生率は手術群では46.2%、非手術群では31.4%でした。
2つめの研究は、2013年にGokceらが、306人の不妊男性(168名:手術、138名:手術なし)の体外受精の結果をレトロスペクティブに比較し、体外受精の前に手術を行うことで妊娠率と出生率が向上することを強く示唆する結果となっています。


■効果なし報告
2012年、Pasqualottoらは、248名の不妊男性(169名:手術、79名:手術なし)を対象に、体外受精の結果を比較しました。非手術群、手術群で妊娠率(31.1%vs. 30.9%、P = 0.9806)、着床率(22.1%vs. 17.3%、P = 0.5882)、流産率(21.7%vs. 23.9%、P = 0.8401)は、差を認めませんでした。


メタアナリシス報告
Kirbyらが2016年に実施したメタアナリシスでは、上記の論文を含めて解析をしていますが、体外受精を実施する前に精索静脈瘤手術を実施することは、女性年齢が高くないカップルの出生率を大幅に向上させる可能性に示唆しています。

 

 

顕微鏡下精索静脈瘤手術は、侵襲が少ない手術ですが、上記の判断材料を総合的に考えて、手術するかどうか?、手術するとしたらいつするか?決める必要があります。