子宮腺筋症は、
子宮内膜症が子宮筋層内に生じたものです。
その原因や成因は不明です。
MRIや超音波の精度が高くなったため、あるいは診断率が向上したため、子宮腺筋症と診断される機会が増えています。
日本産婦人科医会研修ノートより
★薬物療法と手術療法がありますが、妊娠を希望される方では薬物療法が中心となります。
【薬物療法】
GnRHアゴニスト製剤・黄体ホルモン製剤(ノルエチンドロン、ダナゾール、ディナゲストなど)・レボノルゲストレルIUD・低用量ピル・LEP・NSAIDs(鎮痛剤)が使用されていますが、腫瘍縮小効果からGnRHアゴニスト製剤が推奨されます。
これら薬剤の使用中は排卵➡️月経が止まり妊娠できません。
日本産婦人科医会研修ノートより
【手術療法】
1990年頃から子宮腺筋症の子宮温存に手術(子宮腺筋症核出術)が行われるようにもなっています。
術式は、V字切除術から始まり、子宮筋3重フラップ法、非対称性切除法などが実施されています。
手術適応は医師によっても異なり一定の基準がありません。また、開腹手術と腹腔鏡手術のどちらも実施されています。
腹腔鏡手術は部分的な子宮腺筋症が対象になることが多く、傷も小さく済みますが、開腹手術より子宮破裂のリスクが高くなるようです。
Fertil Steril 2018; 109: 406(日本)これまでに18論文、2365件の子宮腺筋症核出術が報告されており、このうちの90%は日本で実施されています。
妊娠例は397名(17%)449妊娠であり、流産率24%(108/449)、出産率81%(363/449)、子宮破裂3.6%(13/397)と報告されています。
これまでに報告された子宮腺筋症核出術後の子宮破裂は23件、妊娠12〜34週に生じています。また、術後妊娠許可の時期についても明確な基準はありません。
手術の目的が妊娠である場合に、39歳以下では子宮腺筋症核出術により妊娠率の改善が期待できますが、40歳以上の方では妊娠率の改善が期待できないことを示されています。
体外受精実施暦のある方で術後の妊娠率が良いということは、着床に腺筋症が影響していることが示唆されます。
子宮腺筋症核出術は、未だ保険適応になっておらず、限られた施設でのみ行われています。
★ 妊娠を希望されている場合は、月経困難が高度でない限り、早期に体外受精により受精卵を確保(全胚凍結)し、移植前にGnRHアゴニスト投与による子宮縮小を図り、その後に融解胚移植を行うことをおすすめします。
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