■質問内容

妊娠検査薬を朝使うとやや濃い目の線がでて、夕方になると薄くなりました。

これは夕方だからでしょうか?それとも化学流産の可能性が高いですか?

 

■当院からの回答

妊娠検査薬は、尿に含まれる「ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)」と呼ばれるホルモンの濃度によって妊娠の可能性を判定するものです。

 

使用する時期はいつ?

通常、妊娠すると排卵日から14日前後でhCGは「50mlU/mL」以上に達し、その後も妊娠10週ごろまで分泌量は増加し続けますが、妊娠検査薬ではこの値を検出感度(陽性反応が出る値)としています。

たとえ妊娠していたとしても、hCGの濃度が検出感度に達していないと陽性にはなりません。

妊娠を待ち望むときは生理が遅れたらすぐにでも確かめたい気持ちになりがちですが、正確な結果を得るためにも、推奨時期を守るようにしましょう。

 

基本的には朝・昼・夜のいつの尿でも検査可能ですが、一般的に朝起きてすぐの尿は一日の中で一番濃いので、hCG濃度も比較的高い可能性があると考えられています。水分をたくさん飲んだ後はhCG濃度が薄まって正確な判定が出ないケースもあるようなので、検査は適切と思えるタイミングで行ってください。
 

hCG濃度は、妊娠が順調に継続する場合、1日で約1.5倍に上昇します。尿検査は定性検査であり、血液検査と比べ簡易にできる反面、細かい変化を視るのには不向きです。

再検査を行う場合は、同じ条件のもとで数日開けて行うことで、上昇、下降を判断しやすくなります。


どうしても早く確認したいという場合は、「早期妊娠検査薬」というものも市販されています。これは、hCGの濃度が「25mlU/mL」で反応する仕様となっているので、「生理予定日当日」から判定が可能となっています(海外製品ではより早い時期から使用可能としている製品もあります)。ただし、人によりhCGの分泌量とその増加していくスピードには違いがあります。あくまでも早期妊娠検査は参考としてチェックするという感覚を持ちましょう。

妊娠検査薬、早期妊娠検査薬ともに事前に説明書をよく読み、使用方法を確認しておきましょう。

 

検査時期を間違えると本当は妊娠しているのに陽性反応が出ない(これを偽陰性と言います)ことがあります。「一般的な妊娠検査薬」と「早期妊娠検査薬」を間違えて購入するなどして、適切でない時期に検査してしまうケースで起こりうることなので、気をつけてください。

 

なお、これら妊娠検査薬は絨毛性・性腺刺激ホルモンの増加を調べようとするものであり、「最終的な妊娠診断は超音波検査で胎嚢(たいのう)を確認」して行います。異所性妊娠(子宮外妊娠)、胞状奇胎、流産といった妊娠異常もありますので、妊娠検査薬陽性であれば早期に受診してください。

 

また、妊娠検査薬で陰性でも排卵が遅れて妊娠されている場合もあったり、卵巣機能が乱れて排卵がないままになっていたりする場合もあります。このような場合も受診して相談してください。