Q.
残念ながら流産の手術を行いました。
2回の生理がきたら、また治療を再開とのことでしたが、 2回というのはどういう理由からなのでしょうか?
他院では1回とか3回とか色んな情報を聞きます。
岡山二人クリニックでは基本的には2回としている理由をお聞かせ願えればと思います。
また個人の状態によっては1回の生理がきたら治療を再開してもいいのでしょうか?あわせて教えていただければと思います。
A.
流産という結果は残念ですが、「妊娠成立した」ということは目標に向かって近づいている と考えてよいですね。
生殖ロス(流死産)後に「次の妊娠まで どのくらい期間を空けたらよいか?」は、挙児を希望されているカップルにとって大変重要な情報です。
流死産後の次回妊娠までの期間は「短かすぎても長すぎても妊娠予後が不良になる」と考えられますが、その理由として次のようなことが考えられます。
次回妊娠までの期間が短すぎると
子宮や卵巣やホルモンバランスなどが元に戻っていないため、次の妊娠の準備ができていないことが推測されます。
排卵が起っていること(基礎体温の高温相)が確認できれば、卵巣機能状態や子宮環境は回復してきたと言えると思いますが、卵巣機能や子宮内膜環境の回復を十分に確認するとなると、もう1周期の経過確認がお勧めです。
また次回の妊娠前に、流産原因検索をお勧めすることもあります。
治療内容や女性年齢によってもお勧めの治療方針は若干異なるかもしれませんが、「2周期は開けましょう」というのが基本になります。
次回妊娠までの期間が長すぎると
女性の加齢による卵巣機能低下が関わってくる可能性があります。2周期といっても月経が来るのをズーと待っていたのでは何か月も経ってしまいます。ですので、状況によっては「月経を起こさせる」といった対応も考えられます。ですので個別の対応は医師に相談してください。
妊娠初期の流産(生殖ロス)は、以下の頻度で起こっていることが知られています。
- 妊娠 8週未満で流産の43.4%
- 妊娠14週未満で流産の94.8%
かつては妊娠までの期間を長期間に空けないと、次の妊娠の生殖ロスの確率が高くなると信じられていました。
しかし、最近の研究によると、妊娠14週未満の生殖ロス(流産)では、次の妊娠までの期間が3ヶ月以下の場合も6月以下の場合も、次回妊娠の生殖ロス(流産)の確率に有意差がないことが報告されています。
また、Hum Reprod 2016; 31: 28347では、
妊娠14週〜19週の生殖ロス(流産、妊娠中絶)では、次の妊娠までの期間が3ヶ月以下の場合と13ヶ月以上の場合は、次回妊娠の生殖ロス率が増加していた。
妊娠20週〜23週の生殖ロス(死産、新生児死亡)では、次の妊娠までの期間が19ヶ月以上の場合に、次回妊娠の生殖ロス率が増加していたことが報告されています。
以上をまとめると
流産(生殖ロス)後、次の妊娠までの理想的な期間は次のように考えられます。
- 妊娠14週未満での生殖ロス: 2〜3ヶ月 (2回目の生理がくるまで)
- 妊娠14週〜19週での生殖ロス:4〜12ヶ月
- 妊娠20週〜23週での生殖ロス:0〜18ヶ月
女性年齢や個別状況もありますので、診察室でご相談ください。