多嚢胞性卵巣症候群PCOSは、女性の約5~10%にみられる排卵障害の原因で最もポピュラーなものです。

 

多嚢胞性卵巣症候群PCOSの女性の多くでは、インスリンの作用に対する細胞の反応性が低下した状態(インスリン抵抗性がみられます。

 

インスリンは、細胞が糖(グルコース)を取り込み、エネルギーとして利用するのを助けます。細胞がインスリンの作用に抵抗性を示すと、血液中に糖が蓄積するため、それを減らすために膵臓からのインスリンの分泌量が増加します。インスリン抵抗性が中等度または重度になると糖尿病と診断されます。

 

インスリン抵抗性は、空腹時インスリン値(10mU/L以上)、75gOGTT120分値(64mIU/L以上)や、HOMA-R(1.73以上)などが指標となります。

 

HOMA-R指数(homeostasis model assessment ratio 、homeostasis model assessment as an index of insulin resistance (HOMA-IR)、HOMA-R=IRI (μu/ml ) ×FPG (mg/dL)÷405が用いられます。

 

多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)では、多くの方にインスリン抵抗性耐糖能異常を認めます。

 

糖負荷試験(OGTT)を行ったところ、PCOSでは耐糖能異常を16.3%に認め、健常女性の8.5%と比べ約2倍の頻度であることを示しています。 Hum Reprod 2013; 28: 1062

当院では自費診療項目になりますが、多嚢胞性卵巣症候群PCOSの方には血糖値およびインスリンの採血検査をおすすめしています。基本的には前夜9時以降は絶食(水のみOK)で午前早めに 来院し、診察医にお申し出ください。