生殖年齢にある女性の20%には、超音波検査で卵巣に多くの小嚢胞が認められる可能性があります。

 

 

このなかには、希発月経(月経周期45日以上)や無月経(月経が90日以上ない)などの月経異常はない、とくに問題(病的)ない多嚢胞性卵巣形態(PCOM)考えられる方が多くいます。このような方では、他に妊娠しにくい原因がなければ自然妊娠の期待が十分にあります。

 

しかしながら、卵巣に多くの小嚢胞を認めるだけでなく、希発月経(月経周期45日以上)や無月経(月経が90日以上ない)などの月経異常や、月経はあっても排卵はしていない(基礎体温高温相がない)無排卵症などがある方もいます。

 

このような方では、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)という診断がつく場合があります。このような方は治療を受けていただいたほうが良いです。

 

PCOSの診断基準(ロッテルダム基準 2003)を示します。
1 稀発排卵 or 無排卵
2 臨床的 and/or 検査で高アンドロゲンの所見
3 多嚢胞性卵巣(2~9mmの小卵胞が12個以上 and/or 卵巣体積が10ml以上)

 

上記3つのうち少なくとも2つがあった場合にPCOSと診断します

  • 片側の卵巣のみで 多嚢胞性卵巣(PCOM)と判定します
  • 10mm 以上の卵胞がある場合や黄体を認める場合は次周期を待って判定します
  • 超音波上の 多嚢胞性卵巣所見(PCOM)だけで PCOSと診断することはできません
  • PCOSは男性ホルモン高値で多毛を示すことがあります
  • PCOMでもPCOSでも、AMHは胞状卵胞や前胞状卵胞といった小さな卵胞から産生されているのでAMHは高値を示すます
  • 月経期のFSH・LH検査で、PCOMは正常値、正常比を示しますがPCOSではLHが高値を示すことが多く、また正常値であってもFSH値と比較して同じ、またはLH値のほうが高い傾向が認められます
  • PCOSは、生殖年齢にある女性の5-10%に認められ、無排卵の原因の75を占めます
月経異常があったり、不正出血があったり、基礎体温で高温相がわからないといった場合は、早めに受診してください。