Q1.

胚盤胞移植を先日行い、陰性の判定でした。 移植して4日目に夫婦生活をしたことで、着床がうまくいかなかったというのはあるのでしょうか? また胚盤胞の着床はいつ完了するのですか

 

Q2.

いつもお世話になっています 診察の時に確認すればよい事ですが、移植後の夫婦生活について、いつから可能ですか? ある病院では人工授精後当日or翌日には夫婦生活を勧められています(定着の後押しができると記入がありました) 私は体外受精なのでどの時期から可能ですか? 出産された方からは妊娠初期は夫婦生活は控えるように言われて、病院によっては当日からでも勧められ、子供が授かる可能性があれば出来る事はしてみたいので、一般的のアドバイスをお願いします

 

A.

胚移植前に性交渉をもつことは妊娠率向上に繋がる可能性があります。

 

排卵前後の性交渉は、受精のために必要というだけではなく、男性側を受け容れる母体の免疫応答にプラスになる作用があると考えられています。

 

このため、人工授精後や胚移植前に性交渉をもつことは妊娠率向上に繋がる可能性があります。

 

ただし、採卵した周期は、卵巣が腫大し捻転する危険性があることから、原則的には避けていただきます。また、性交による子宮収縮、着床の妨害、胚の流出などのマイナス作用も考えられ、移植当日~受精卵が着床する時期は控えていおいた方が無難です。 

 

胚移植後、受精卵が着床すると推定される時期は分割胚移植では3~5日後、胚盤胞移植では1~3日後と考えられています。胚移植時また着床時期には子宮収縮が起こらないように配慮することが必要です。

 

胚移植後も家事やデスクワーク、自転車に乗るなどは構いませんが、腹筋運動により子宮が圧迫される可能性があります。この時期に走ったり、 激しい運動、性交などの子宮収縮を助長すること、腹部を圧迫するような動きは避けることをお勧めします。

 

〇 胚移植前後に性交を行うと妊娠継続率がよい

Hum Reprod 2000; 15: 2653
胚移植前後の性交が妊娠率に影響するかについて、478周期の胚移植をランダムに性交群と非性交群に分け前方視的多施設共同研究を行った結果、妊娠率は性交群(23.6%)と非性交群(21.2%)で有意差を認めませんでしたが、妊娠6~8週までの妊娠継続率は性交群(11.0%)が非性交群(7.7%)より有意に高くなっていました。

 

〇 精液への暴露により免疫寛容となり着床が促進される可能性がある

Hum Reprod Update 2009; 15: 517 (Review)
マウスでは調節性T細胞が胎児の免疫寛容に必須であり、着床前後に関与する。女性では妊娠初期の子宮内膜および血液に調節性T細胞が出現し、不十分な調節性T細胞は不妊症、流産、妊娠高血圧(中毒症)をきたす→調節性T細胞が妊娠中の免疫寛容を導く

 

〇 着床期の性交は妊娠率を低下させる可能性がある
Fertil Steril 2014, 102: 178

着床期に性交が全くなかった方と比べ、着床期に1,2,3日の性交のあった方では、妊娠率がそれぞれ0.98倍、0.76倍、0.52と低下していました。2日以上の性交で妊娠率が有意に低下しましたが、1日の性交では妊娠率の低下は認められていません。
 

以上から
『胚移植までに1
~2回性交し、胚移植後の性交は控える』がおすすめです。