卵巣機能不全の原因として、そもそも「排卵が起こっていない」ときがあります。これが排卵障害です。
排卵障害を以下のように分類します。
1. 視床下部障害
2. 下垂体障害
3. 多嚢胞性卵巣症候群
4. 卵巣自体の問題
hMG/FSH製剤は、本来、脳下垂体で造られているホルモンを注射して1)2)3)の排卵障害に対して卵巣を刺激しますが、4)卵巣自体の問題(卵子がない、少ない)は残念ながらカバーすることは出来ません。
下記の論文報告は、ASRMの公式見解です。Fertil Steril 2020; 113: 66
1 熟練した医師による管理が必要である
2 1個の卵胞発育を目標にする
3 1個の卵胞発育であれば多胎妊娠や卵巣刺激症候群は回避できる
4 多胎妊娠やOHSSを完全に回避することは難しい
5 HMG/FSH製剤のリスクについて事前の十分な説明が必要である
6 HMG/FSH製剤は少量(37.5〜75IU)から開始し、反応がなければ増量する
7 16mm以上の卵胞が3個以上、あるいは中等度の大きさの卵胞が3個以上に発育した場合は妊娠を回避する
8 視床下部性無月経の方には、黄体機能改善に有効だが、多嚢胞性卵巣症候群の方の黄体機能改善効果についてはデータが不足している
排卵は2個まで許容すると受け取られます。