Q.

体外受精のためには、古い精子より新しい精子のほうが良いと思うので、採卵の2日前にも射精があったほうが良いですか?それとも、古くても、新しくても関係ないですか?

 

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体外受精採卵の予定であれば、濃度が極端に低い方でなければ0〜2日の禁欲期間の方がよいかも知れません。 かえって1週間以上の射精間隔はよくない思われます。

 

 通常法IVFでは、1つの卵子に数万の良好運動精子を一緒(媒精)します。顕微授精ICSIでは、1つの卵子の細胞質内に運動性がある正常形態精子1つを注入します。

 

禁欲期間(射精と射精の間隔)が長くなると、酸化ストレスにさらされることにより、精子のDNA損傷率(遺伝子のダメージ)が増加すると考えられます。

 

このため採卵周期には0〜2日の禁欲期間、また、タイミング法や人工授精周期では排卵日以外にも、2〜3日の禁欲期間精子改善に繋がる可能性があります。

 

精子DNAフラグメント(SDF)が受精卵に及ぼす影響を検討した報告をご紹介します。

 

 20162017年に採卵した、男性不妊ではない夫婦475を対象に、初回採卵顕微授精+新鮮胚盤胞移植を実施しました。精子DNA損傷を示す指標として精子DNAフラグメント(SDF)を使用し、30%をカットオフとし、培養成績、妊娠成績を前方視的に検討した結果、精子DNAフラグメントが多い場合には(SDF>=30%群)では、胚発生率と着床率が有意に低下し、流産率が有意に増加しています。(Fertil Steril 2019; 112: 483)