Q.1 

過去5回、凍結融解胚移植を行ったのは、月経開始から19~21日目だったのですが、今回は28日目に決まりました。 通常、Day18~21あたりを候補日に挙げられるのですが28日目でも妊娠率に影響はないのでしょうか?

 

Q.2 

胚盤胞移植日の決定について、生理9~13日目までに診察に行き、内膜の厚さがよければ、19~25日の間で移植してきました。これまで4回移植を行いました。

素人感覚かもしれませんが、私は生理周期28日程度で、生理12~13日目におりものが多くなるので、移植の日はもう少し早い日(おりものが多くなった日から5日後くらい)がいいのではないかと思っています。いかがなものでしょうか。

 

A.

妊娠成立のためには、排卵から起算して5~8日目頃に胚盤胞は子宮内膜に着床するのではないかと考えられています。

 

自然生理周期では発育する卵胞から分泌が増加する卵胞ホルモン(エストラジオール)の作用で、排卵2日ほど前から排卵日にかけて子宮頚管粘液(透明な帯下)が多くなります。エストラジオールの上昇によりLHサージが誘起され、その後に排卵が起こります。つまり、おりものが多くなった日が排卵日というわけではありません。

 

 当院の融解移植では、排卵周期では排卵日を0日として5日目に、ホルモン補充周期では、ルトラール開始6日目(月経開始18日目以降30日目以内の期間)に胚盤胞移植を行っていますが、月経開始日からの日数による妊娠率の差は認めません

 

また、ホルモン補充周期による凍結融解胚移植における移植日までの日数を検討した論文を2編ご紹介します。

 

1)

20122015年にホルモン補充周期による凍結融解単一胚盤胞移植を実施した1377周期について、胚移植までのE2ホルモンの補充日数別に4群(21日以下、2228日、2935日、3648日)に分け前方視的に解析したところ、21日以下を1.0として出産率を比較すると、2228日は有意差はありませんでしたが、2935日で0.66に、3648日で0.49に有意に低下し、29日以降(特に35日以降)の出産率低下は流産率増加によることを示しています。胚移植までのE2ホルモンの補充日数が28日以下(生理周期3日目からホルモン補充を開始した場合には生理周期30日目まで)であれば問題ないことを示していますHum Reprod 2018; 33: 905

 

2)

20122017年に自己卵によるPGT-A正常胚(染色体正常を確認した受精卵)ホルモン補充周期で凍結融解胚移植した1439名を対象に、妊娠成績に影響する因子を後方視的に検討したところ、移植日までの日数は、妊娠率、着床率、流産率、出産率、出生時体重、低出生体重率に対して有意な影響はありませんでしたFertil Steril 2019; 111: 1177