Q.

1人目を新鮮胚移植で妊娠、出産し、9ヶ月になり、第2子の妊娠を急ぎたく凍結胚の移植を考えているのですが、断乳は絶対にしなければいけませんか?

断乳せずに移植をすることは可能でしょうか…?

断乳することが絶対なら、その理由も教えて頂きたいです。生理は産後2ヶ月から再開しています。

 

A. 

母乳のメリット

授乳には、初乳には分泌型免疫グロブリンA(IgA)という物質が含まれており、分泌型免疫グロブリンAは消化管の病気などを防ぐ作用があります。

 

また母乳栄養で栄養学的に消化・吸収・バランスが理想的で、食事性アレルギーを起こしにくく、母子の意志疎通が出来るなど多くのメリットがあります。

 

また、児の乳頭吸引刺激が視床下部に達することにオキシトシン分泌がよりもたらされます。授乳により分泌されるオキシトシンは乳腺に働き、射乳をおこすと同時に子宮筋の収縮をさせて、産褥の子宮復古を早める役割を担います。

 

母乳のデメリット 

授乳中は、プロラクチン分泌が亢進しているため、卵胞刺激ホルモン(FSH)や黄体化ホルモン(LH)の分泌は抑制され、したがって排卵は起こりにくい状態にあります。

 

授乳中に妊娠した場合に流産しやすいかどうかのデータは明確ではありませんが、授乳中の妊娠率は(自然妊娠の場合)低下します。(J Mammary Gland Bilo Neoplasia 1997; 3: 291)

 

胚移植の前の対応

ご質問では第2子の妊娠のために凍結胚の融解移植を希望されておられます。オキシトシンの作用により、子宮筋が収縮するため、受精卵の着床に影響する可能性は否定できません。また、妊娠されたときにも流産のリスクはないとは言えません。これらのことから、当院では断乳後の胚移植をおすすめしております。詳しくは、診察医とご相談ください。

 

1)授乳中止の確認

2)授乳中止後から2週間以降でプロラクチン値のチェック

3)ホルモン補充周期での胚移植であれば、

①前周期にプラノバールを内服

②移植周期にエストラーナの貼付しながら子宮内膜の厚み8mm 以上の確認

③黄体ホルモン剤の併用を開始して6日目に融解移植

④移植から10日後に着床診断