こんにちは。先日、初めて岡山二人クリニックでの人工授精を受けました。
今までのクリニックでは人工授精後に
感染症予防の薬と、着床補助の薬を投薬されていましたが、
今回どちらの投薬もなかったのです。二人さんではそういったやり方なのでしょうか?
A.
当院においても、以前は人工授精後に感染症予防の薬や黄体補充を目的とした投薬を行っておりました。
当院の人工授精は、精子洗浄用培養液を用いて洗浄・濃縮した精子液を子宮内に注入しています。
洗浄・濃縮操作より、精液中の細菌などをほぼ除去しているため感染症を発症する可能性は極めて低く、
かえって抗生剤に対するアレルギーなどのリスクもあることから、抗生剤の予防的投与を中止し
5年以上が経過していますが大きな問題は発生しておりません。
また、人工授精の目的は精子の卵管膨大部(受精の場)への進行を手助けするものであり、
hCG注射や黄体ホルモン剤の内服を行っても妊娠率の向上に繋がらないことが
学会からもガイドラインとして発表されました。
ただし、HMG/FSH/recFSH製剤を使用の場合においてのみ有効性が示唆されています。
このため黄体機能不全に対しての治療を行うことはあっても、
人工授精をするからと言っての治療追加は行っておりません。
人工授精の黄体補充は必要? メタアナリシス (Fertil Steril 2017; 107: 924)
「卵巣刺激を用いた人工授精における黄体補充」に関する論文のメタアナリシスから
hMG/FSH製剤を使用した場合において、黄体ホルモン補充は
妊娠率を1.56倍に、出産率を1.77倍に有意に増加させました。
しかし、クロミッド単独あるいはクロミッド+HMG/FSH製剤使用の場合には、
黄体ホルモン補充による妊娠率、出産率の改善効果はありませんでした。