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突然のコメント失礼します。40 代、過去2施設で胚盤胞移植10回行いました。

新鮮胚盤胞移植胎嚢確認後流産。以降全てホルモン補充での凍結胚盤胞移植。2胚同時移植にて心拍確認後流産。化学流産1回。シート法、アシストハッチング、スクラッチ、子宮内膜炎治療完治、色々試していますが結果が出ません。AMH 1.11 ロング法1回、ショート法2回でいずれも4aa3bcの胚盤胞ができるため治療を諦めることもなかなかできません。残り4AB 2個を含む胚盤胞があります。

年齢による染色体異常が大きな要因とは理解していますが、もし何かできることがまだあるとすれば、アドバイス頂きたくコメントさせて頂きました。よろしくおねがいします。

 

A.

これまでの本ブログQ&Aは当院に通院中の方からの「通院者情報共有サイトでのご質問」にお答えしたもので、当院の診療プロトコールに従っての治療を前提として記載しております。医療機関によって診療プロトコール(たとえば胚盤胞の形態評価基準)には違いがあり、また個々の方で状況が異なりますので、以下は総論的なお答えとお考えください。

 

着床しない原因には次の3つが、単一または複数にあると考えられます。

  • 胚の問題:胚形態評価(Gardner分類・タイムラプス・AI解析)またはPGT-A (染色体異数性検査)

  • 母体(着床)の問題:子宮鏡検査・慢性子宮内膜炎検査・免疫学的検査、ビタミンD測定など

  • 着床の窓の問題:ERAテスト 

 AMH 1.1 ng/ml &かつ40歳以上の条件で、通常卵巣刺激を行った場合の平均採卵数5-7個です。


このことを前提とすれば、ロング法1回・ショート法2回の総計3回の採卵で合計20個前後の卵子が採卵できたのではないかと推定されます。


すでに移殖した10回の移殖可能胚盤胞に、さらに残り4AB2 個の胚盤胞ができていることは、 年齢相当以上の胚盤胞到達率と考えられます。

 

また、10回の移殖により、胎嚢確認後流産1回、心拍確認後流産1回、化学流産1回されていることは、「着床の窓がズレている」とは言えないようです。

 

着床率は、日本産科婦人科学会集計による40歳以上の全国成績よりも良いと考えられます。

流産率は全国データでは、40歳以上で30%を越え、43 歳では50%に達しまています。


40 歳以上では受精卵の染色体異常を認める割合は60 %を越えると考えられます。

これらのことから、明らかな着床不全とは言えず、受精卵の染色体異常に起因するものが一番推定されます。


受精卵の染色体を調べた上で染色体異常がない胚盤胞を移植するPGT-Aが考えられますが、日本産科婦人科学会の特別臨牀研究は解析中で、未だ行うことができません。

 

もっともPGT-Aを行っても、移植できる胚盤胞がないということも起こりえます。また、PGT-Aは胚盤胞の凍結前に行う必要がありますし、検査費用が1胚盤胞あたり5万円以上掛かることが想定されますので、

PGT-Aするかどうかも悩みが大きいことと思います。

 

受精卵以外では、流産2回(化学的妊娠流産も1回)されていらしゃるようなので、以下を行なってみることも考えられます。

  • 不育症検査、および見つかれば治療
  • 子宮鏡検査(内膜ポリープ、粘膜下筋腫、子宮奇形、子宮内癒着など)、および見つかれば治療
  • ビタミンDなどの測定、および低値であればサプリ服用など 

最初におことわりしたように、

個々の方で状況は異なりますので、まずは受診されている医療機関の担当医にご相談されるのが良いのではないでしょうか?