慢性子宮内膜炎は、自覚症状に乏しい局所炎症性疾患で、子宮内膜に「形質細胞」というリンパ球が侵入している炎症状態です。

 

形質細胞は抗体(免疫グロブリン)という蛋白を作る能力が高い細胞で、通常、子宮内膜に形質細胞が見られることはありません。

 

無症状のことも多い良性の病気ですが、不妊症との関連性が徐々に明らかになってきています。

 

慢性子宮内膜炎は、持続する子宮内の炎症であり、形質細胞(陽性)の存在が特徴的です。原因となる細菌としては、淋菌、クラミジア、マイコプラズマ、ウレアプラズマ、大腸菌、連鎖球菌、ブドウ球菌、エンテロコッカス、酵母菌、結核菌などが候補として考えられています。

  1. 着床不全の方の30%原因不明不妊の28%、原因不明習慣流産の12に、慢性子宮内膜炎が見られることが分かりました (Fertil Steril. 2011 ;95:1156 ,Am J Reprod Immunol. 2016 ;75:13)

  2. 抗生剤を使った治療により、慢性子宮内膜炎が改善し、それにともなって妊娠率が改善したことが報告されました。(Fertil Steril. 2010; 93 :437.)

  3. 慢性子宮内膜炎が認められた方に対して治療を行ない、治癒した群と治癒しなかった群に分けた研究で、妊娠率(65.2% vs. 33.0%)も出産率(60.8% vs. 13.3%)と報告されていますHum Reprod 2015; 30: 323