妊娠成立のためには卵子と精子が必要です。この卵子や精子が、将来、妊娠を希望するときに無くなっていたり極端に少なくなったりする可能性があるとき(医学的適応と言います)、これらを凍結保存しておくことができます。このことを妊孕性温存と言います。

 

男性では

  • 事前に感染症採血をします
  • マスターベーションで精液を採取していただきます
  • 精液中の精子を洗浄濃縮した精子液を作成します
  • 精子液を液体窒素中に凍結します

 

女性では

  • 通常では1つしか発育してこない成熟卵胞を、勝手に排卵してしまわないように調整(点鼻薬や注射)しながら、排卵誘発剤の連日注射で多数発育するように試みます。
  • 成熟卵胞を確認できてから2日後を基本に膣から卵巣に針を立て、卵胞液を吸い取って卵子を体外に取り出します(採卵)
  • 第二減数分裂を開始した成熟卵子(MⅡ卵)であることが確認します
  • 成熟卵子を液体窒素中に凍結保存します
  • 精子は、一回の射精で億単位で通常ありますが、卵子は全く取れないことや多く取れても20程度です
  • 卵巣刺激や採卵に伴うリスクがないとは言えません

凍結した精子や卵子は、体外受精における顕微授精のために用います

  • 融解した時にダメージを受けており使用できないことがあります(生存率は約95%程度)
  • 顕微授精しても胚(受精卵)が得られないことがあります(一般的には受精率70%程度)
  • 受精していても細胞数が増えない(分割胚にならない)ことがあります
  • 分割胚でも胚盤胞まで発育しないこともあります(受精卵から胚盤胞まで育つ可能性は約3割)
  • 胚盤胞まで発育しても着床・妊娠・出産できるとは限りません

このほか卵巣自体を凍結保存する方法も考えられています。

精巣や卵巣の手術をする際、抗がん剤など精子や卵子の産生や機能に障害をもたらす可能性があるとき、将来、妊娠を希望されている場合は、早めに(できるだけ治療開始前に)治療担当医に相談していただくことをお勧めします。