先日、面白い体験をしてきました。
「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」、ご存じでしょうか?
数名の初めてお会いする知らない人たちと、視覚障害のある方に案内をしてもらいながら純度100%の真っ暗闇の中を歩いてゆく、というもの。
水のせせらぎを聞き、足の裏で色んな情報を感じ、床の上に寝っ転がって見えるはずのない星空を眺め、足湯に浸かり、花に触れ、香りを感じ、お互いを助け合い、そして語り合う・・・
そんな不思議な体験。
本当の真っ暗闇の中では、こんなに不安で、こんなに何もできないのか・・・
他人の声がこんなに頼もしく、自分を安心させてくれるものなのか・・・
年齢も、肩書も、性別も、国籍も・・・
そんなことを忘れて「そばにいてくれる人」のありがたみ、大切さを感じる時間でした。
約90分間のこの暗闇体験の中で、支配人が一番衝撃を受けたのが、真っ暗な中でいただいた「ジャスミン茶の味」でした。
あの、中華料理店で出てきたり、コンビニとかでペットボトルとかでよく買うあのジャスミン茶です。
まず、あのジャスミン茶の香りが昔の記憶を呼び戻します。
支配人の脳内に突然現れたのは以前アメリカで、当時仲の良かった台湾人の子に連れて行ってもらった中華レストラン。
※写真はWikipediaより
そこで席に着くと提供されるジャスミン茶のあの香り。
一緒に食べたザリガニのフライも美味しかったなぁ。
そして、数年後にインバウンド誘致の仕事で訪れた台湾の小籠包屋さん。
※写真はお店のHPより
このお店は店員さんのスカートの丈を10㎝短くして売り上げが何パーセント伸びたんだよ、なんて裏話を聞かせてもらったりして・・・
そんな思いがけないフラッシュバック、真っ暗闇の中で「香り」と「記憶」の関係の強さに改めて感心しました。
そしていよいよお茶を口へ運びます。
五感を研ぎ澄まそう、というこのアクティビティですから、それはそれはジャスミン茶を「味覚」で存分に感じることができるんだろうな・・・
って思って、味!味!と味覚を研ぎ澄ましたつもりで飲んだんです。
そうしたら・・・
ん?味?
・・・よくわからないんです。
でも、あぁ、美味しいねー、ってなったんです。
不思議。
支配人が真っ暗闇の中でいただいたこのジャスミン茶を「美味しい」って思ったのは、
その優しい香りと舌ざわり、喉から胃へと落ちてゆく温かさによるものだったように感じます。
つまり、「味覚」だけでなく、「嗅覚」や「触覚」が私たちに「美味しい」という感覚をもたらしてくれている、
五感はバラバラに働いているのではなく、全部が繋がっていて、そして重なり合って絡み合って、人間に豊かな感覚をもたらしてくれている・・・
そんなことを感じたんです。
そういえば昔、真黒なブラインドグラスというワイングラスに注がれたワインを試飲させてもらったときに、
味だけではそれが赤ワインなのか、白ワインなのか、そんなことすら感じ取ることが出来なかったことを思い出しました。
支配人の絶望的はバカ舌にも問題があるのですが、でも「味覚」以外の感覚が味を、美味しさを感じ取る際に大きな役割を果たしているんですよね。
木もれ陽のレストランでも、名苗シェフのお料理をどうぞ五感を使ってお楽しみください!
みたいなことをそれっぽく言っていましたが、本当に、見た目の華やかさはもちろんその香り、舌触り、歯ごたえ、温度、音、そして味・・・
五感で感じることでより深く、より豊かな「美味しさ」を感じることができるんだと思います。
忙しい日々の中、ついついスマホを眺めながらただそこにある食べ物をお腹の中に流し込むだけの食事をしてしまっていたこともありました。
目に見えるものに対しても、そうでないものに対しても・・・
もう一度、五感を研ぎ澄まして五感のつながりを感じながら、この豊かな地球での暮らしを楽しもうと思える素敵な時間でございました。
小籠包食べたい支配人